2005年7月13日(水)「しんぶん赤旗」
沖縄米軍
都市型訓練を強行
住宅地から300メートル 強い抗議の中
沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセン(金武町など)の射撃場(レンジ4)内に建設された都市型戦闘訓練施設で十二日午前、米軍が実弾射撃訓練を強行しました。地元の金武町伊芸区や同町、県がこぞって反対する中での訓練強行に住民、県民の怒りが大きく広がっています。
関係者らによると、同日午前八時すぎに「訓練開始」を知らせるとみられる赤色の旗が演習場内に掲げられ、その直後から射撃音が鳴り響き、着弾地点付近から白煙があがるのが確認されました。
在沖縄米軍の四軍調整官事務所は、外務省沖縄事務所の照会に対し、訓練を開始したことを認めました。
訓練をしたのは、米陸軍トリイ通信所(読谷村)所属の特殊部隊(グリーンベレー)とみられ、屋外射撃場の方向から大小の発射音が聞こえたことから二種類のライフル銃を使用した模様です。
訓練施設は住宅地から約三百メートル、沖縄自動車道から約二百メートルしか離れておらず、伊芸区では過去に米軍演習中の流弾事故や山火事など多くの被害を受けてきました。
訓練施設の近くに建てた監視台には、金武町の儀武剛町長や伊芸区の池原政文区長らが駆けつけ、訓練の様子を不安げな顔で見つめました。
池原区長は「町や県の反対を無視し、米軍が訓練を始めたことは住民を愚弄(ぐろう)していると言わざるを得ない。訓練を容認する日本政府も国民の生命・財産より、米軍の訓練の方が大事だという態度で許しがたい」と語りました。
■米軍の実弾訓練強行/許しがたい暴挙/赤嶺衆院議員談話
米軍が都市型戦闘訓練施設での訓練を強行した問題で、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員(沖縄県委員長)は、次のように語りました。
◇ ◇
少女わいせつ事件に対する県民の怒りのなかで、米軍は都市型戦闘訓練施設での実弾訓練を開始しました。実弾訓練に対し、地元の伊芸区民をはじめ、金武町、沖縄県知事、県民ぐるみで中止を求めてきました。それを無視した許しがたい暴挙です。
もともと、民間住宅地に接近して実弾射撃訓練をすることがどんなに危険なものかは、県民がこれまで何度も流弾事故、山火事の被害を被ってきたことからも明らかです。
日本政府は米軍の訓練の必要性を認め、米側の言い分をオウム返しにして、「安全だ」と繰り返している。対米追随もはなはだしい。
国民世論を結集し、危険な演習を中止させるために全力を尽くします。
▼都市型戦闘訓練施設
米軍が、米海兵隊キャンプ・ハンセン(沖縄県金武町など)の射撃場レンジ16に県民に一切知らせず建設し、それが老朽化したとしてレンジ4に新たに建設しました。地元住民は昨年五月の建設着工以降、連日の抗議・監視行動を続けてきました。
日米両政府は四月、県民の強い抗議を前に「レンジ16の奥」に代替施設を建設することで合意。十二日に強行された訓練は代替施設完成までの一時使用としています。しかし、レンジ4に建設された施設は撤去されず、引き続き米海兵隊に引き渡されることが明らかになっています。