2005年7月10日(日)「しんぶん赤旗」
主張
G8サミット
地球でともに生きていくなら
英国で開かれた主要国首脳会議(サミット)は、テロ、アフリカ、温暖化などの問題で一致点を議長総括と十二文書にまとめました。
ロンドンでの同時テロにたいし二度の声明を発表した異例の展開から鮮明なのは、残虐な無差別テロを封じるために当該国のみならず国際社会の協力が不可欠であることです。ここに端的にあらわれているように、サミット八カ国(G8)も全世界の国々、国民とともに生きる進路をとらなければ、地球規模の問題は解決しません。
■テロ、貧困、温暖化で
地球上からテロを一掃していく基本は、断じて卑劣なテロを許さないという国際世論を大きくし、テロの策動の余地を封じ、なくしていくことです。
テロ対策で二度目のG8声明は最終第七項を「国際的なパートナーシップの強化」としています。そこでいうように、「国際的な義務、規範、標準が普遍的に履行され」なければなりません。
G8声明は「包括的テロ防止条約交渉を速やかに妥結」するよう求めています。そのためにも、国際社会が国連憲章と国際法にもとづき、法と正義を貫いて、テロ根絶に力をあわせる関係をつくる必要があります。
米英は、国連安保理が認めないのに、根拠なしにフセイン政権が国際テロ組織アルカイダとむすびついているともいいたててイラクに侵攻し、テロ活動の場をつくりだしてしまいました。テロ策動の余地を広げるような愚挙をくりかえしてはなりません。
今回のサミットで主要議題とされていたアフリカ、温暖化の問題でも、G8の行動が問われています。
今回、「重債務国が国際通貨基金(IMF)等に負っている債務の100%免除」を確認し、アフリカ向け政府開発援助(ODA)増額などを合意しました。
これらの合意は、アフリカ諸国の困難打開に生かされるように実行しなければなりません。
IMFとサミット国が主導した「構造調整」の名による経済自由化政策が、重債務をもたらし、アフリカ諸国の発展を妨げ、貧困と格差を広げてきた経過があります。G8としては、過去の教訓を生かす必要があります。
アフリカ大陸の自立的発展のためには、各地の内戦、部族紛争なども克服しなければなりません。
G8として、紛争解決への支援や「小型武器への対策を図る」ことをうたいました。この立場を貫くなら、武器輸出でもうけるようなことはやめるのが筋です。
サミットは地球温暖化対策で「気候変動は地球のあらゆる場所に影響を及ぼす深刻かつ長期的課題。人間の諸活動が主要な原因」だとし、「主要な新興経済諸国と協力し、温室効果ガス排出の大幅な削減方法を探る」と文書にうたいました。
一致点として重要ですが、英国が提起した新たな数値目標の導入は、米国の反対で、合意できませんでした。
■一国主義の克服を
米国は、温室効果ガス排出削減のための京都議定書が発効しても加わらず、英国の説得にも応じないで、一時は米国を除く七カ国で文書をまとめる動きもあったと伝えられます。
地球規模の問題にとりくむうえで、自国の「利益」だけに固執する一国主義的な対応は、国際社会の足をひっぱることになります。それを克服することが、重要になっています。