2005年7月9日(土)「しんぶん赤旗」

主張

同時テロ事件

卑劣な犯罪行為を糾弾する


 英国ロンドンでの同時テロ事件で死者は五十人以上、負傷者は七百人と伝えられます。重傷の人がかなりいて、死者が増えるおそれもあります。

 蛮行の犯人は、公共交通機関の地下鉄とバスに爆弾をもちこみ、爆発させました。

 一般市民の生命を奪う無差別テロは、いかなる口実や背景があっても、絶対に許されない卑劣な犯罪行為であり、強い怒りをこめて糾弾します。

 残虐なテロ行為の犠牲者、その家族と関係者に心からのお悔やみを申し上げ、負傷された方々のできるかぎり速やかな回復を強く願います。

■法の裁きの場に

 犯人は、朝の通勤時にあわせて、地下鉄で相次ぎ爆弾を爆発させ、バスの二階を吹き飛ばしました。

 それを周到に準備した手口は、組織的な背後関係をうかがわせます。「欧州のアルカイダ聖戦秘密組織」を名のった「犯行声明」が出ています。

 英国ではサミット(主要国首脳会議)開催にむけ警備を強化していたはずですが、ブレア英首相は「事件の前兆はなかった」とのべ、クラーク英内相も情報当局の「失敗」を事実上認めています。

 事件を受けて英当局者は、国際テロ組織アルカイダ関与の可能性を口にしています。

 英国で実行犯を特定し、犯人に「法の裁きを受けさせる」ため全力をあげることは当然です。

 同時に、国際社会が無法なテロをばっこさせないため協力を強めることが求められます。

 アラブ諸国を含む世界各国の指導者がロンドンでの同時テロを糾弾しています。

 アナン国連事務総長は「人道そのものに対する攻撃」だと厳しく非難しています。バローゾ欧州委委員長は「この犯罪行為は、英国と英国民にたいしてだけでなく、この犯罪を許さない世界のすべての文明的な人々に向けられている」とのべています。

 英国で開催されていたサミットは、「これらの野蛮な攻撃を断固として非難する」声明を発表しました。これには、ブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの首脳と、参加した国際機関の長が名を連ねています。

 国連安全保障理事会は、ロンドンでの同時テロを厳しく非難する決議を全会一致で採択しました。

 安保理決議は、「国連憲章に沿ったあらゆる方法で、テロ行為による国際の平和と安全にたいする脅威とたたかう必要」を改めて確認しました。そのうえで、「すべての国」によびかけているのが、「野蛮な行為の侵入者、組織者、支援者」を見つけ出し法の裁きを受けさせるための「積極的な協力」です。

■国際社会の協力と努力を

 この点で重要なのは、一般市民を犠牲にする無法で残虐なテロを許さない国際世論を高めて、テロに走るものを孤立させることです。

 法と正義にもとづく国際協力を強め、宗教、民族間の対立をあおらず、テロを生み出す土壌をなくすことも視野に入れて努力しなければなりません。

 安保理がくりかえし確認してきたように、各国が準拠すべきは国連憲章、国際法であり、包括的テロ防止条約の締結を急ぎ国際協力の基盤を整えることです。国際的なテロ根絶のために法と理性にもとづく行動、対策が求められます。


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