2005年7月8日(金)「しんぶん赤旗」
「つくる会」教科書採択
日韓弁護士が反対声明
中学校の教科書採択が今夏に迫るなか、日本と韓国の弁護士団体が七日、日本の侵略戦争を正当化した「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校の歴史、公民教科書が教育の現場に持ち込まれることに反対する共同声明を日韓両国で同時発表しました。
声明を出したのは自由法曹団と韓国の弁護士約五百人でつくる「民主社会のための弁護士会」。扶桑社の「つくる会」教科書が使用されれば「日本の子どもたちの教育と将来にとって有害なだけでなく、両国の未来にかかわる深刻な問題を引き起こす」と強調。採択阻止のため「協力してたたかっていく」とのべました。
東京都千代田区の弁護士会館で自由法曹団の吉田健一幹事長、松島暁事務局長らが記者会見しました。イラク戦争や憲法「改正」論議など、政治状況の大きな変化と連動するように、「つくる会」の公民教科書が全面的に書き換えられ、より危険な中身になっていると指摘しました。
大日本帝国憲法の全文を唯一掲載する一方で、他社のほとんどが掲載している男女雇用機会均等法、労働組合法、世界人権宣言など人権や平和に関する重要事項を省いていることを紹介。「国家と軍事力にすがりつく思想をうえ付け、改憲へ導く教科書だ」と訴えました。
自由法曹団はパンフレット『検証・「つくる会」公民教科書』を発行。採択反対のため、全国の主要な教育委員会への要請を行うほか、「市民の反対運動にも参加、協力していく」とのべました。