2005年7月7日(木)「しんぶん赤旗」
悪質訪問リフォームの手口 京都
「ただで修理」が次々に高額契約
中国で集団買春「幸輝」
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悪質な訪問リフォーム販売の被害が相次いでいます。中国で集団買春事件を起こしたり、埼玉県富士見市の認知症の姉妹宅に不要な工事を行った大阪のリフォーム会社「幸輝」は先月末、京都市の統合失調症の男性(63)から工事契約の取り消しなどを求める訴訟を起こされました。この事件の訴状から、悪質で詐欺的な手口の実態をみると――。(橋本伸)
今年三月八日のことでした。「幸輝」の従業員Mが突然、原告の男性宅を訪れ、こういいました。
「おっちゃん、おっちゃんのところの屋根が落ちかけてますよ。ちょうど近所で工事が終わって材料が余っているし、どうせほかすもんやから、ただで直してあげますよ」
男性がその勢いに押され、思わずMを家に入れると、Mは屋根裏に入り、出てくるなり、こう告げました。
「このままだと地震がおきたら崩れてしまいますよ」
さらに、たたみかけるように「屋根は直した方がいいですよ。なるべく安くするから」と勧誘しました。
■電話口に社長
男性が家が本当に崩れたら困ると思いながらも、工事依頼は決めかねていると、Mは携帯電話を取り出し、どこかへ電話をかけました。そして、「今、社長が電話口に出ている。替わってほしい」といいました。
男性が電話に出ると、いきなり「ありがとうございました!」といわれました。男性は「ありがとうございます」の声を聞いて、「ああ、もう契約してしまったことになっている」と思い、後戻りはできないと思いこんでしまいました。
翌日、男性宅に別の従業員Oがきて、四十七万円のクレジットの申込書に署名捺印(なついん)することを迫りました。
それからまもなくして、「幸輝」のまた別の従業員Iが作業服姿の男を連れてきて、「今度は床下を見てあげよう」といいました。
作業服の男が床下に潜り、しばらくすると、写真を男性に見せながら、「根元が赤っぽくなっている。これは風呂の水が漏れて配管から錆(さび)が出てるからやろう。それを換えんといかん」と勧誘しました。
■「考えさせて」
工事費用が百八十万円と聞いて男性が「考えさせてほしい」というと、Iは「床下の工事をしなければ家全体が崩れてしまう」などとしつこく勧誘しました。
Iは日を改めて別の男を連れて訪問、見積書を提示しました。男性は再三やってくるIを前に、もはや契約しないとはいい出せる雰囲気でないため、「分割にしてほしい」といいました。
三月十七日、男性は百八十九万円のクレジット申込書に署名させられます。風呂の工事中の二十二日、男性の姉が事態を発見、ただちに工事中止とすべての請負契約の取り消しを内容証明郵便で伝えました。
男性側は「まったく効果がない屋根裏工事を耐震補強工事かのようにいったり、床下補強と称して不要な浴室工事まで申し込ませた」と指摘。特定商取引法が禁じる「動機形成に至る部分の不実告知」に当たるとして計二百三十六万円の契約取り消しと、浴室の原状回復費など九十万円の支払いを求めています。