2005年7月7日(木)「しんぶん赤旗」
イラク
多国籍軍撤退日程設定を
国民議会議員103人賛同
【カイロ=小泉大介】イラク暫定国民議会(定数二百七十五)の議員のうち、多国籍軍撤退日程の明示を求める声明への賛同者が四日までに百三人に達しました。取り組みの中心メンバーで、イスラム教シーア派会派「幹部・エリートのリスト」所属のファター・アルシェイク議員が本紙に明らかにしたもの。同議員は「賛同者は毎日のように増えている」と述べ、今後さらに広がるとの見通しを示しました。
声明は六月二十日に八十三人の議員の賛同で発表されました。五月末にイラク移行政府が国連安保理に提起した多国籍軍の駐留延長要請を取り消し、同軍撤退の日程を設定するよう政府に求めています。
イラクでは今年一月末の暫定国民議会選挙の際、シーア派政党連合「統一イラク同盟」が「多国籍軍撤退日程の設定」を公約し過半数の百四十議席を獲得しました。
しかし、親米のクルド人勢力は米軍撤退に抵抗。また四月末の移行政府発足を前後して、ラムズフェルド米国防長官やライス米国務長官らが相次ぎイラク入りして圧力をかけるなか、「同盟」内部でも撤退要求が急速にしぼんできました。「同盟」出身のジャファリ移行政府首相も、今は「撤退日程の設定はテロリストを利する」という立場です。
この「公約違反」については、「命をかけて選挙で投票した国民への裏切り」などの批判が国民の間で高まっています。今回、さまざまな圧力の中でも百人を超える国民議会議員が公然と氏名を明らかにして撤退日程設定を求めている背景には、占領終結を強く求める国民世論が存在しています。
■合法的抵抗おこなう/中心メンバー アルシェイク議員の発言
ファター・アルシェイク議員の発言は次の通りです。
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声明賛同者には、「統一イラク同盟」の議員をはじめ、クルド人、イスラム教スンニ派、トルクメン人、キリスト教徒と主要な宗教、民族の代表が含まれています。
私は声明発表後、イラク南部の各都市でこれを支持する集会に出席しましたが、どこも予想以上の参加者が集まりました。首都バグダッドでは最初の集会に五百人、三度目には千五百人が参加し、今後も相次ぎ集会が計画されています。
米軍がイラクの各都市で現在進めている軍事作戦は大量虐殺です。子どもや女性など民間人に何の罪があるというのでしょう。米軍の攻撃はテロリストの活動を挑発しており、イラクを破壊へと導くものです。
必要なのは、多国籍軍の撤退日程を明確にして、徐々に撤退を開始することです。戦車や戦闘機でテロを取り除くことはできません。多国籍軍撤退こそテロをなくす道です。撤退で政府に完全な主権と治安権限が渡れば、イラク人の手で治安を担うことは十分可能です。
私たちは多国籍軍撤退日程の設定を要求していますが、それはテロ活動の容認を決して意味しません。われわれはテロと敵対し、合法的な抵抗をおこなっています。