2005年7月7日(木)「しんぶん赤旗」

主張

盧溝橋事件68年

歴史に正面から向き合うなら


 日本の中国全面侵略戦争の発端となった盧溝橋事件(一九三七年七月七日)から、今日で六十八年です。

 靖国神社参拝に固執する小泉内閣の外交的ゆきづまりは深く、歴史の真実にたった国民の声をあげていく必要があります。

■記憶にとどめるべき日

 日中全面戦争が始まった七月七日は、八月十五日の「終戦」や十二月八日の太平洋戦争開戦の日に比べ、あまり話題になりません。しかし、中国東北部から中国全土に侵略を拡大し、百万を超す兵力を送りこみ、残虐な作戦ではかり知れない犠牲を与えた大規模な戦争であり、「7・7」は、日本国民として記憶にとどめるべき日だと思います。

 盧溝橋事件は、北京郊外の盧溝橋付近で夜間演習中の日本軍が、銃撃をうけたとして、中国軍を攻撃した事件ですが、間もなく、現地では停戦協定が成立しており、戦火の拡大を防ぐ条件がありました。ところが当時の近衛内閣は、中国への大軍派遣を決定し、全面的な攻撃を開始。翌八月の政府声明で「支那軍の暴戻(「ぼうれい」=乱暴で道理がない)を膺懲(「ようちょう」=こらしめる)し以って南京政府の反省を促す為今や断乎たる措置をとる」と宣言しました。

 昭和天皇も、「中華民国深く帝国の真意を解せず濫(みだり)に事を構へ遂に今次の事変を見るに至る」と中国側に戦争の責任を押しつけ、「中華民国の反省を促し速に東亜の平和を確立」するための武力行使だと強弁しました(三七年九月)。

 「暴支膺懲」を口実とした日本の侵略にたいし、中国では、中国共産党と国民党が協力して抗日戦争をたたかう態勢をとり、国をあげての徹底抗戦にたちあがりました。

 天皇制政府の侵略の口実は、まったく成り立ちません。ところが、今日にいたってもなお靖国神社は、戦前の天皇制政府と同様に、“悪いのは中国だ”という宣伝を行っています。『新しい歴史教科書』(扶桑社)も、日中戦争に関連し、「上海で、二人の日本人将兵が射殺される事件がおき、これをきっかけに日中間の衝突が拡大した」などと書き、中国側が不法だったように印象づけようとしています。

 首相の靖国参拝は、侵略戦争正当化論に「お墨付き」を与える行為です。侵略戦争美化教科書を教育現場に押しつけようとするのも、子どもの未来を暗くするものです。

 六日、中国残留日本人孤児の賠償請求訴訟で大阪地裁(大鷹一郎裁判長)は、原告の国家賠償請求を棄却する判決を出しました。孤児としての「不利益」「精神的苦痛」を認めながら、早期帰国や自立支援で国に違法性はないとしました。

 この裁判では、日本政府が調査もせずに、生存している残留孤児の「戦時死亡宣告」を出したことが、調査打ちきり、帰国遅延につながったことが問題になりました。しかし、判決は、「違法な措置」ではないといい、「戦争損害は、国民のひとしく受忍しなければならないもの」だと断じました。日本の侵略戦争の歴史に正面から向き合うなら、こんな判決にはならないはずです。

■生存と平和のために

 侵略推進の国策として国民を中国に送り込みながら、戦後は、死んだことにして見捨てる。侵略戦争への根本的反省を欠く日本政府の姿勢が、国民の犠牲をいっそう大きくしてきました。歴史を直視し、侵略戦争正当化論を克服することは、国民の生存と平和を確保するうえでも重要な課題となっています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp