2005年7月6日(水)「しんぶん赤旗」
ヨドバシ裁判が結審
母親が陳述「息子よ堂々と働け」
ヨドバシカメラ携帯売り場の違法派遣労働と暴力事件をめぐる損害賠償請求訴訟(東京地裁)が五日、結審しました。この日は、原告で作家の下田治美さんが陳述。厳正な判決を求めるとともに、暴行の被害者である長男(原告)に向かって「お前には何の落ち度もない。堂々と働き、たたかいなさい」と述べました。判決言い渡しは十月四日の予定です。
二〇〇二年十一月から〇三年三月、「笑顔が足りない」ことや「遅刻」を理由にヨドバシ店舗や下田さん宅で四度にわたる鉄拳制裁を受けた派遣労働者Aさんと母親の下田さんが、ヨドバシ、DDIポケット、派遣会社と暴行実行者のヨドバシ社員らを訴えているもの。Aさんは母親の面前でおこなわれた派遣会社員の暴力で全治二カ月の重傷。下田さんはそのショックで執筆不能になるなど重度の精神的肉体的被害を受けた、としています。
Aさんはヨドバシで働いた六カ月間、毎日十五分の早出サービス残業を強制させられていました。暴行の理由にされた「遅刻」は、このサービス残業に遅れたもの。
裁判で被告側は、暴行の一部を認めたものの、就労形態は派遣でなく業務委託(DDI)、販売場所を提供しただけ(ヨドバシ)などとして、責任回避に終始しました。
意見陳述で下田さんは「けが人を目の前にして、なぜ救急車を呼んでくれなかったのか」と、会社側を批判し、「被告たちのウソを見抜いてください」と訴えました。
この問題は〇三年六月の参院厚生労働委員会で日本共産党の井上美代議員(当時)が取り上げ、厚労省はAさんの就労実態を違法な二重派遣としてヨドバシなど各社に文書指導しています。