2005年7月6日(水)「しんぶん赤旗」

9条こけし

「平和の使者」製作

「現代の名工」 関口三作さん


写真

(写真)“九条こけし”試作品を手にする関口三作さん=渋川市の自宅

 群馬県渋川市の創作こけし作家、関口三作さん(79)は“九条こけし”づくりに励んでいます。まだ試作段階ですが、身近に置いてもらえればと百個をめざします。

 「孫やひ孫たちが再び戦場に引っ張り出されないように、一つひとつ平和の願いを込めて作っています。平和の尊さを若い人たちに伝えることができたらうれしい」

 “九条こけし”は、首を少し傾け口を大きく開いた顔が9の字の形に、髪の毛も九、胴体には平和の象徴、ハトが描かれています。

 関口さんは「渋川・北群馬九条の会」(準備会)の呼びかけ人の一人。一九四四年、徴兵で中国東北部「満州」にわたり終戦を迎えました。四年間シベリアに抑留。氷点下三十度の収容所で、寒さと飢えのために多くの人が死んでいきました。三回も命拾いをしたという関口さん。「あの経験は六十年たった今でも忘れない。言葉では言い表せないような極限状態。戦争は決して勇ましいものじゃない」

 五八年から創作こけしづくりに専念。たくさんの「平和の使者」を全国に送り出しました。内閣総理大臣賞三回、国際芸術文化賞など数々の賞を受賞。七八年には“現代の名工”に選ばれました。

 「私はこけしを“木仮子”と書いています。木目がいろいろと変化し、あたかもこの木にこの子がいたように、自然に生まれてくるのです」


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