2005年7月5日(火)「しんぶん赤旗」

良心で子どもと向き合えるよう

「君が代」予防訴訟

大田堯東大名誉教授ら証言


 東京都の教職員約四百人が入学式や卒業式の際、「君が代」を斉唱する義務のないことの確認を求めて都教育委員会などを相手に訴えている裁判(予防訴訟)の口頭弁論が四日、東京地裁(難波孝一裁判長)で開かれ、教育学者の大田堯・東京大名誉教授らが証言に立ちました。

 大田氏は、教育は子どもが自らをつくりあげていく力を引き出し、励ましていく「芸術」ともいえる営みであり、教師は自分の良心を子どもと響き合わせる必要があると強調。教育内容に不当に干渉するのでなく「教師が良心で子どもと向き合えるように援助することこそが教育行政の役割だ」として、良心の自由を職務命令で奪う「日の丸・君が代」の強制を批判しました。

 続いて二人の現職高校教師が証言。

 商業科の男性教師は、在日韓国人の生徒が不当な差別を受けていることにも触れながら、「一人ひとりの違いを認め合っていくことこそ教育にとって大切だと思って教育実践をしてきた」と語りました。「日の丸・君が代」を強制した都教委の通達は「教員も生徒もすべて同じ色に染め上げるものだ」とのべました。

 国語科の女性教師は、生徒たちに「言葉の意味を理解し、自分で責任をもって表現しよう」と教え、「自ら学び、自ら考える力」を育てる教育を心がけてきたと証言。一つの文学作品の解釈にもいろいろな見方があることを教え、「君が代」の意味についても生徒と一緒に考える授業をしてきたことを紹介。生徒自身が意味を考え、責任をもって行動することが大事で、強制で歌わせることは間違っていると語りました。


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