2005年7月5日(火)「しんぶん赤旗」

つくる会教科書

アジアべっ視の内容

採択阻止へ歴史学団体が声明


 侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史教科書について、歴史学関係の十一団体が四日、「日本の戦争行為・植民地支配を肯定・正当化し、天皇・国家中心の歴史観を貫いている」として、採択によって教育現場に持ち込まれることに強く反対する共同声明を発表しました。七、八月の教科書採択を前に、各地の「つくる会」教科書の採択反対の運動と連動していくと述べました。

 歴史教育者協議会の石山久男委員長、歴史学研究会の山田邦明・愛知大学教授らが都内で記者会見しました。

 山田氏は、「事実関係の間違いが目立ち、歴史研究の成果をふまえていない」教科書であると強調。アジア諸国をべっ視した内容であり、「子どもたちに独りよがりの優越意識をもたせ、国際的に孤立する考え方を育てるだけでなく、思考力の発達を阻害する」と批判しました。

 石山氏は、民衆の生活や視点が大きく削られ、支配者側から見た歴史のみが描かれているとのべました。

 歴史学研究会の丸山理氏は、四年前の採択時との違いとして、現場の教師の意見を反映させず、教育委員会の主導で教科書採択を行うよう「つくる会」が政治的圧力を強めていると危機感を表しました。同日発行した、歴史学研究会編のパンフレット『「新しい歴史教科書」の問題点』を各教育委員会に発送するとしました。

 声明には、地方史研究協議会、朝鮮史研究会幹事会、日本史研究会なども名を連ねています。


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