2005年7月4日(月)「しんぶん赤旗」
民団が歴史教科書集会
「つくる会」の問題点議論
侵略戦争と植民地支配を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」が自分たちの教科書の採択を狙う中、在日本大韓民国民団は三日、東京都内で「歴史教科書と子どもの未来を考えるフォーラム」を開催。約四百人が参加しました。在日韓国人と日本人の研究者らが報告者となり「つくる会」教科書の問題点や日韓の歴史認識の共有について議論を深めました。
基調報告に立った姜徳相(カンドクサン)滋賀県立大学名誉教授は、自身が中学生まで天皇に忠誠を誓う皇国臣民としての教育を受け、朝鮮人として生まれたことを恥ずかしいと思っていたことや、戦後も差別を受け苦労したことも語りながら、日本の歴史教科書が朝鮮の植民地支配の実態に十分触れてこなかったことを批判しました。
水野直樹・京都大学教授は、創氏改名や強制連行について、「つくる会」教科書が史実をゆがめていることを他社の教科書と比較しながら具体的に指摘。VAWW―NETジャパンの西野瑠美子共同代表は、「つくる会」と自民党などの政治家が一体となって攻撃する中で教科書の「従軍慰安婦」の記述が後退した経過をのべ、「慰安婦」記述がなくなってよかったという発言を繰り返す中山成彬文科大臣を批判しました。
李成市(リソンシ)早稲田大学教授は「歴史とは現在の課題に照らして過去を見ること」であり「つくる会」教科書にはその視点がないと指摘。「国際社会に生きていく子どもたちが隣国とコミュニケーションできなくなる」と語りました。
参加者は「つくる会」教科書の採択を阻止する運動を進めること、子どもたちの国際交流と友情のきずなが深まるよう努力と支援をおこなうことなどを決議しました。