2005年7月3日(日)「しんぶん赤旗」
米陸軍
新兵確保が依然「危機的」
【ワシントン=山崎伸治】米軍のイラク、アフガニスタンの駐留が予想以上に長引く一方、駐留部隊の主力を占める陸軍の新兵徴募が思うようにすすんでいません。六月は目標を上回り、五カ月連続の未達成は免れたものの、現会計年度(九月三十日まで)中に八万人という年間目標達成の見通しは暗いばかりか、次年度はさらに困難が予想されています。
陸軍の新兵徴募は今年二月以来、四カ月連続で目標を下回り、五月の達成率は75%にとどまっていました。米メディアが六月三十日、国防総省当局者の話として伝えたところでは、六月は目標を五百人上回ったとされています。
ところが、同日の上院軍事委員会の公聴会では「陸軍は最近、高校未卒業者をこれまで以上に受け入れ始めているようだ」(レビン議員)と入隊基準を緩和した結果ではないかといぶかる声が上がり、シューメーカー米陸軍参謀総長が否定する一幕もありました。
それでも、年間目標達成に程遠い状況に変わりはなく、シューメーカー氏は同じ公聴会で「危機的状況」と訴えました。さらに次年度は「徴募にはいっそうきびしい状況になりそうだ」との悲観的な見通しを示しました。
こうしたなかで、米国防総省は一日、戦闘中に死亡した米兵の家族に対する死亡慰労金と戦闘地域に派遣された兵士の保険金を大幅に引き上げると発表しました。
それによると、現在一万二千四百二十ドル(約百三十八万円)の死亡慰労金が十万ドル(約千百十万円)に、現在最高二十五万ドル(約二千七百七十五万円)の米兵生命保険の保険金が四十万ドル(約四千四百四十万円)に、それぞれ引き上げられます。
これまでも海外に派兵された米兵には免税措置などが認められてきましたが、新たな優遇措置を導入することで米兵とその家族の不満を解消しようというもの。ここにもイラク、アフガニスタンへの駐留が予想以上に長引くもとで、兵士の確保がますます困難になっていることが示されています。