2005年7月2日(土)「しんぶん赤旗」
サラリーマン大増税計画
収入少ないほど重く
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政府税制調査会(首相の諮問機関)が打ち出したサラリーマン増税計画は、収入の少ない世帯により大きな負担増を押しつけます。
定率減税を廃止し、給与所得控除を半減、配偶者控除と扶養控除をそれぞれ廃止すると仮定すると、その負担増は、収入の少ない世帯ほど大きくなります(表)。
サラリーマンと専業主婦の妻、子ども二人(うち一人は十六歳から二十二歳)の四人家族で見てみます。これまで所得税が非課税だった世帯(年収三百万円。年収二百万円世帯は、住民税所得割も非課税)は、前述の条件を当てはめて試算すると、新たに税金が課されることになります。
所得税・住民税あわせて税額がゼロだった年収二百万円の世帯は、所得税・住民税合わせて新たに十一万八千円が課税されることに。所得税がゼロだった年収三百万円の世帯は、所得税・住民税額が二十五万三千円に増加。増税後の納税額は、現行と比べると三十三・一倍に膨れ上がります。
現行納税額と増税後の納税額を比較すると、その増加割合は、収入の少ない世帯ほど大きくなります。年収四百万円世帯では、五・六倍になる一方、その割合は年収が増加するごとに低下。年収五千万円では、一・一倍となります。
■民主党は大増税旗振り役 これだけの証拠
民主党は、東京都議選の中で政府税調が打ち出した所得課税の各種控除廃止などサラリーマン大増税計画に対し、「このまま自公を勝たせたら、増税路線を認めることになる」(岡田克也代表)と演説し、「サラリーマン増税対策本部」を設置するなど増税「反対」を盛んにアピールしています。
冗談ではありません。「控除廃止」による大増税の旗振りをしてきたのは民主党ではありませんか。
たとえば、民主党がことし二月、「政権を獲得したら組む」(仙谷由人政調会長)として発表した独自の「予算案」では、配偶者や子どもの扶養に必要な控除を軒並み廃止するという、とんでもない提案を出し、サラリーマン増税をリードしてきました。
国会でも、この「予算案」を自慢し、「所得税の抜本的見直しの際に、各種控除の問題も当然見直されるのか。民主党は(独自につくった)予算案で、扶養控除、配偶者控除を廃止して、子ども手当を創設するという予算化をした」(野田佳彦衆院議員、二月十八日、財務金融委員会)などと質問したほどです。
このような「控除廃止」は、民主党自身が「控除の見直し、われわれも配偶者特別控除を廃止しろといってきた」(五十嵐文彦衆院議員、三月二日、総務委員会)としているように、民主党の一貫した主張です。増税に「反対」どころか、一番熱心に旗を振ってきたのが民主党なのです。
●民主党「税制改革の基本構想」(二〇〇〇年五月十八日)
「社会政策上設けられている税制上の各種人的控除については、これを大幅に見直す」
●民主党税制調査会「2005年度税制改正に対する考え方」(〇四年十二月二十二日)
「個人所得課税において世帯単位で、高所得者に相対的に有利な『控除主義』から、支援が必要な人への『給付主義』へ転換する。そのため所得課税の各種控除を見直し」
●04年参院選「政権政策(マニフェスト)」
「配偶者控除・配偶者特別控除を廃止する」
●「05年度 民主党予算案」
「扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除の廃止」