2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」

自公民 子ども病院に背を向ける

小児科危機よそに 都立3院廃止計画


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 小児医療の危機といわれる深刻な状況が進行しているなか、都民の反対をよそに石原都政が強引に進める三つの都立小児病院の廃止が、東京都議選(七月三日投票)の大きな争点になっています。

 東京都はすでに都立母子保健院(世田谷区)を廃止しましたが、さらに廃止しようとしているのは清瀬、八王子両市にある都立小児病院と世田谷区の都立梅ケ丘病院(小児精神)。府中市に新設する小児総合医療センターに統合する計画です。十六ある都立病院の半減を打ち出した都の「都立病院改革マスタープラン」(二〇〇一年十二月)にもとづくものです。

 東京都のこうした動きは、他の道府県に比べても突出しています。都道府県立の小児(子ども)専門病院をもつのは十四都道府県ですが、そのうち廃止・縮小の動きがあるのは都以外は千葉県だけ。その千葉県はまだ構想段階です。

 小児科の診療報酬が低すぎて採算が合わないことや、小児科専門の医師の不足から民間・個人病院の小児科からの撤退や縮小が相次ぎ、小児医療の存続が社会的な問題になっています。実際、都内の小児病院はこの十年(一九九〇年―二〇〇〇年)で三百二十六から二百四十一へと四分の三以下に減少しています。

 なかでも、二十三区と比べ多摩地域が深刻です。十五歳未満の年少人口に対する小児科の病院・診療所の数は、二十三区の六割程度。最近、増加傾向にある未熟児の医療にあたる周産期母子医療センターと新生児集中治療室(NICU)の病床数は、二十三区が十七施設百六十床に対し、多摩地域は八王子、清瀬両都立小児病院を含め三施設三十床しかありません。

 また、清瀬、八王子両病院とも日本で屈指の医療水準があり、治療を受ける子どもたちが「時間との勝負」という状況もあって、病院周辺に引っ越してきた家族も少なくありません。夜間・休日の小児救急でも、両院は地域にとってかけがえのない役割を果たしています。

■共産党 住民と共に存続運動

 都の廃止計画に対して地元住民からは「かけがえのない病院をなくさないで」という運動が広がり、清瀬小児病院の存続を求める署名は約十二万人、八王子小児病院の存続を求める署名は約十四万人で、清瀬、八王子両市議会でも存続を求める決議が採択されています。日本共産党の小松きょう子都議、しのはら重信都議候補、清水ひで子都議らは住民とともに存続のために奮闘してきました。

 日本共産党は、公的医療の大後退となる、「都立病院改革マスタープラン」に反対し、不採算医療といわれる小児医療、小児救急医療こそ都立病院が担うべきものだとして、各小児病院の存続を主張。住民運動とも結んで都議会内外で奮闘しています。

 こうした住民運動と日本共産党の奮闘が実を結び、三小児病院の廃止を当初の二〇〇七年度から〇九年度に二年間延期させました。昨年十一月には、日本共産党の、しのはら都議候補らの要請に対し、都側は「地元の合意なしに進めない」と答えました。

 また、梅ケ丘病院は全国唯一の小児精神の専門病院で、地元住民をはじめ幅広い都民から廃止反対の声が広がり、存続を求める署名は五万人にのぼります。日本共産党のたぞえ民夫都議候補は、梅ケ丘病院を存続させて小児救急医療にも対応する「子ども病院」への拡充を提案、住民の期待が広がっています。

 一方、「都立病院改革マスタープラン」を推進・賛成する自民党、民主党、公明党は、存続署名が十万人を超えた都立母子保健院の廃止に賛成し、小児病院の統廃合についても、それを前提にした質問を都議会で行っています。都立小児病院の存続に道を開くことができるかどうかは、今後の住民の運動とともに、これと手を結んで奮闘する日本共産党が前進するかどうかにかかっています。


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