2005年6月28日(火)「しんぶん赤旗」

こんなことも知らないで


 元党員で、公安警察との関係で党を除名され、いまはもっぱら共産党攻撃の文章を反共雑誌に売り込んでいる兵本達吉氏。今度は、さる雑誌の対談で、「宮本顕治“獄中十二年”の嘘(うそ)」と騒ぎたてています。

 なにが“嘘”かというと、網走の監獄に十二年いたかのように宣伝して、世間をだましていた、というのです。

 とんでもない。宮本さんが戦争中の一九四四年十二月まで東京で法廷闘争をたたかったことや、網走刑務所におくられたのは四五年六月であることなどは、日本共産党の歴史を多少とも知っている人なら、常識になっている話です。

 ところが、兵本氏は、「詳しく調べるまでは宮本は本当に網走に十二年間入獄していたと思っていた」というのです。それも獄中の顕治さんと妻の百合子の往復書簡集『十二年の手紙』を「読まされてるから」そう思うんだと。

 こんなばかげた話はありません。『十二年の手紙』は、「市ケ谷刑務所」と「巣鴨拘置所」からの手紙が大部分をしめ、網走からの手紙は四五年七月三日付と九月二十日付の二通のみ。兵本氏は『十二年の手紙』をめくりもしなかったのです。

 対談相手の立花隆氏が、「網走三カ月半」の事実が知られるのは兵本氏がいいだしたからなのか、と感心するのですから、お粗末ぶりは同程度。百合子の「実家」、正確には父方の祖母の住んでいた所ですが、それを福島ではなく「茨城」と口にするいいかげんさをふくめ、“共産党情報”を売り物にしている兵本氏が、いかに“日本共産党知らず”であるかをさらけ出したお粗末な文章でした。(博)


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