2005年6月25日(土)「しんぶん赤旗」
学生の個人情報データベース化
米国防総省
新兵募集に使用か
【ワシントン=山崎伸治】米国防総省が十六歳から十八歳の高校生と、すべての大学生に関するデータベースを民間企業と共同で作成する計画が明らかになり、プライバシー侵害につながると懸念する声があがっています。
二十三日付の米紙ワシントン・ポストが伝えたもので、米国防総省は「兵役に就く年齢と学業資格に達している個人のファイル」を管理するとしており、イラク戦争をうけて難航している新兵徴募に使うことを狙っています。
データベースには誕生日や社会保障年金番号、電子メールアドレス、学業成績、人種、専攻分野などの個人情報が蓄積されるといいます。管理するのはマサチューセッツ州ウェイクフィールドにあるマーケティング専門のビーナウ社。
「電子個人情報センター」など個人情報保護強化を訴える民間の九組織は二十二日、共同声明を発表。ビーナウ社にはプライバシー保護対策がないことを指摘するとともに、こうしたデータベース作成は「政府による米国民の個人情報収集を控えるよう求めたプライバシー法と相いれない」と批判しました。
高校生の個人情報を国防総省に提供することは、「連邦新教育改革法」(二〇〇二年一月制定)に盛り込まれています。これは当時、生徒の名簿提出を拒否する学校が相次いでいたことから、共和党のビッター下院議員が、「学力向上」を目的とした同法にもぐりこませたもの。
保護者が拒否すれば情報は提供されないとされていますが、「学校が徴兵事務所の出先機関にされている」(ジャーナリストのエミー・グッドマン氏)と批判されてきました。国防総省が作成するデータベースには、同法によって提供される情報も蓄積されることになっており、その危険はいっそう深まります。
ラムズフェルド国防長官は二十三日、記者団に対し、「新兵徴募の台帳づくりはこれまでずっとやっている。新しい面があるとすれば、新技術が加わったことだ。プライバシーにはつねに配慮している」とのべ、批判をはねつけました。