2005年6月25日(土)「しんぶん赤旗」
那覇市長の計画に不安の声
米軍から返させた市有地
自衛隊施設を誘致
沖縄戦で多大な犠牲者をだした沖縄県民にとって、「平和の島へ」は共通の願いです。その県民の思いを裏切るような戦争のための自衛隊施設が、県都那覇市で進められようとしており、市民の間には不安の声が広がっています。
施設の誘致は、翁長雄志市長の強い働きかけによるものです。
翁長市長は就任後の二〇〇二年、小禄地域に建てられた伝統工芸館を国際通り沿いの那覇てんぶす館に移設することを決定。翌年四月、防衛庁に伝統工芸館の跡地(二千九百一平方メートル)利用を市長名で直接要請し、積極的に自衛隊再誘致を進めてきました。
平和都市象徴の地
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この土地は、平良良松革新市長の時代に米軍、自衛隊から返還させた市有地です。那覇空港からモノレール赤嶺駅を降りてすぐという那覇市の玄関口で、市民に開放された平和都市・那覇の象徴の地でもあります。
地元市民からも、「跡地は、子どもたちが自由に出入りできる児童館にしてほしい」などの声が上がり、地域に開かれた公共施設としての活用を求める署名活動も行われています。
しかし、市長の要請を受けた防衛庁が検討しているのは「広報センター」だと判明しました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が十六日、防衛庁に利用計画の概要説明を求めたところ、「防衛庁が使う以上、防衛庁の目的にふさわしいものでなければならない」と回答。「(広報館のような)施設は、規模の違いはあるが、各駐屯地で持っている」として、コンサルタント会社「丹青社」に跡地利用の調査を委託し、昨年十月には調査報告書を受け取っていることも明かしました。
「丹青社」は、埼玉県朝霞市の陸上自衛隊の広報センターの設計、展示を担当してきた会社です。朝霞基地の広報センター入り口には戦車や装甲機動車の実物がズラリ。戦闘ヘリや戦車のロケット砲で敵戦車を撃破したスコアを競う模擬戦闘体験コーナーも設置され、子どもたちがゲーム感覚で興じている姿も多く見られます。
共産党が中止要請
日本共産党の那覇市議団は二十一日、翁長市長に対し、伝統工芸館跡地の防衛庁への売却、貸与をやめるよう要請しました。
しかし、翁長市長は「(防衛庁がいう)広報活動といってもさまざまある」と述べ、防衛庁への跡地の貸し出し・売却を進める意向を表明。防衛庁が進める利用計画の内容については、「公式に説明を受けていないので、なんとも言えないが、どのような利用になるか、早急に明らかにするよう防衛庁に要望したい」と答えました。
日本共産党の那覇市議団幹事長の渡久地オサム市議はいいます。「あの悲惨な沖縄戦を体験した私たちは、戦争につながる一切のものを拒否してきました。戦争の実相をきちんと伝えることこそ、私たち県民の使命です。戦争につながる兵器の宣伝施設は絶対に容認できません」