2005年6月23日(木)「しんぶん赤旗」

主張

安保条約45年

アジアと世界の平和の障害物


 現行日米安保条約が締結されてから四十五年を迎えます。一九六〇年、岸内閣・自民党は、国民の反対を押しきって衆院で単独採決(五月二十日)、六月二十三日に批准書交換・発効しました。

 条約の柱は、基地提供(第六条)、有事のさいに自衛隊が米軍と共同してたたかう日米共同作戦(第五条)、日米経済協力(第二条)などです。

 戦後六十年たっても、外国軍である米軍に全国八十八もの基地を使用させること自体が異常です。しかも、日米軍事同盟は、米先制攻撃戦争に日本を参加させるまでに拡大しています。安保条約をこのまま続けていいのか、真剣に検討すべきです。

“世界有事”への参戦

 アメリカは、安保条約にもとづいて、日本をベトナム侵略戦争などの足場とするとともに、アメリカの戦争に自衛隊を参加させる仕組みをつくってきました。日米ガイドライン(日米防衛協力の指針)で、アジア・太平洋を範囲とする「日本周辺」でのアメリカの戦争に自衛隊を組み込む仕組みもつくりました。

 ブッシュ政権はさらに、安保条約の適用外である世界有事に自衛隊を参加させようとしています。小泉政権は、アメリカいいなりに、アフガニスタンへの報復戦争や、イラク戦争に自衛隊を派兵。後方支援を行い、多国籍軍に加わり、アメリカの戦争への参加にふみだしました。これは、憲法に反するのはもちろん、安保条約によっても説明のつかない海外派兵です。安保条約第五条の日米共同作戦条項は、「日本防衛」が建前で、イラク派兵の根拠にはなりえません。小泉首相は、「日米同盟、この関係を重要視」(二〇〇四年一月二十一日)してのイラク派兵だと説明していますが、安保条約の規定さえ無視し、無制限に拡大する暴挙です。

 現在、日米両政府がすすめている在日米軍再編も、ブッシュ政権の同盟国を動員した世界的規模での先制攻撃戦争推進態勢づくりです。「日米同盟」論にもとづく世界有事への参加も、憲法九条改悪によって、戦争にふみだすことも、絶対に許すわけにはいきません。

 米軍基地問題も深刻さを増しています。米軍機墜落事故、空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)や全国至るところで爆音をまきちらす低空飛行、沖縄ではさらに、米軍犯罪や環境汚染などで、耐えがたい生活を強いられてきました。しかし、国民は、沖縄でも本土でも、基地の閉鎖・撤去を求め、基地機能の強化・恒久化に反対する声をあげています。

 日本を危険に導く安保条約は廃棄するしか道はありません。

平和な未来のために

 小泉首相の靖国神社参拝がアジア外交をかつてなく深刻な状態にしています。侵略戦争を正当化し、アジア諸国民の心を傷つけることが明白であるのに、なぜ参拝に固執するのか。小泉首相が、日米軍事同盟の世界的拡大と海外派兵国家づくりをすすめているだけに、アジア諸国の疑念、懸念がつよまるのは当然です。日韓首脳会談で、盧武鉉大統領は、「過去の戦争と戦争英雄を美化し、これを学んだ国が隣にあり、こうした国が大きな経済力と軍事力を持っている。その近隣国が過去に何度も苦しめられたことがある場合、国民は未来を不安に思わざるを得ない」とのべました。

 軍事同盟と軍事力強化の道ではなく、憲法の平和原則を生かし、アジア諸国との友好関係を発展させてこそ、平和な未来につながります。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp