2005年6月21日(火)「しんぶん赤旗」

老後はせめて人らしく

中国残留孤児

補償制度求めデモ


 人間らしく生きる権利の回復を求め、国家賠償訴訟をたたかう中国残留日本人孤児ら七百人が二十日、東京・千代田区でデモ行進を行いました。全国からかけつけた「孤児」らは、「国による老後を人間らしく生きるための補償制度の確立」などを求めました。その後、同訴訟の勝利を目指す「6・20全国総決起集会」が開かれました。


 デモ行進では「国は中国残留日本人孤児に謝罪しろ」「戦時死亡宣告を取り消せ」などのシュプレヒコールを響かせました。

 国内の「孤児」は約二千四百人。その八割以上の二千二十五人が原告となり、十五地裁で訴訟が行われています。

 孤児らの多くは幼児期に中国人の養父母に保護され育てられてきました。そのため、日本語が話せず帰国後も、低賃金、重労働を強いられてきました。戦後六十年がたち「孤児」らは、ほとんどが六十歳を超えています。

 支援団体によると半数以上が年金に入っておらず、約七割が生活保護を受けています。訴訟では、国が孤児に対して支援策を怠ってきたことを認め、孤児に謝罪し、人間らしく残りの人生を生きていけるだけの新たな補償制度の確立を求めています。

 同訴訟仙台原告団の角張紘代表(65)は五歳のとき、孤児になりました。中国では大学の教師をしていましたが、九三年帰国。ガスの配管や冷暖房の取り付けの仕事をしてきました。角張さんは「日本語ができずに仕事につけなかったのは、自分に責任はありますか? 誰の責任か考えてほしい」と語気を強めました。

 決起集会には、公明党をのぞく各党国会議員が出席。日本共産党から小池晃参院議員があいさつしました。小池議員は孤児を見捨てた国の責任は重大だとして戦中、戦後、現在の棄民政策を指摘。原告が祖国での老後を「普通の日本人として人間らしく生きることができるように」と訴えたことを紹介し、「みなさんが高齢化している中でいたずらに長引かせず、ただちに責任を認め効果のある支援策を実行すべきであり、政府に強く求めていきたい」と述べました。

 来月六日、同問題で全国に先駆け大阪地裁で判決が下されます。


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