2005年6月20日(月)「しんぶん赤旗」

JR西の「安全最優先」約束

設備だけでなく「人」重要


 JR福知山線の運転再開で、JR西日本は十九日、「安全を最優先する企業風土の構築」(垣内剛社長のコメント)を約束しました。この約束が本当に実行されるかどうかが厳しく問われます。

 この事故を契機に、速度超過を防ぐことができる新型の自動列車停止装置ATS―Pの配備など、ハード面での安全対策は遅ればせながらある程度前進しました。

 しかし、「稼ぐ」を第一にしてきた会社が「安全最優先」に本当に転換するためには経営姿勢についての根本的な反省と全般的な見直しが必要です。

 そのポイントのひとつが人員の問題です。

 JR西日本の発足時には、約五万千五百三十人いた社員が〇四年度に三万二千八百五十人にまで減りました。その急減ぶりは他のJRを上回っています。安全確保には設備面だけではなく運転から車両整備まで人の要素が重要です。その人員についてJR西はさらに削減する計画を持っています。今年度から〇九年度までに四千百人を減らす計画です。

 JR西日本が国に提出した安全性向上計画について、JR西日本の三労働組合は共同コメントを発表。このなかで、実効性の裏づけとなるのは人員の配置だと指摘し、「中長期要員効率化計画で人を減らしていいのか。人員増を引き続き要望していきたい」と強調しました。

 運転再開にさきだってJR西日本の三労働組合は安全確保などを共同で申し入れました。▽当分の間、従来の制限速度を下回った速度にする▽ダイヤ安定のため停車時分、余裕時分を確保したダイヤを提示する▽再開時の乗務員の線路見学では新たなATS―Pの設置個所など運転環境の習得を含める――などです。

 その後、国土交通省に提出された暫定ダイヤをみると、最高時速百二十キロから九十五キロに、現場カーブの制限速度は七十キロから六十キロに下がりました。しかし、上り快速電車の基準運転時間は、川西池田―尼崎間では三十五秒増えただけで、遅れがちだった運転実態にあわせた程度という批判の声も出ています。余裕時分は十分かの検証も必要です。「ほとぼりが冷めたら元に戻すということか」という批判も出ています。

 公共交通機関としての責任感と反省が問われるJRとともに、安全の規制緩和をすすめ、対策を事業者まかせにしてきた国の責任もまた重大です。速度制限、車両検査などの安全基準を持ち、鉄道監査の専門官も増やすなどの抜本的な体制強化が迫られています。(宇野龍彦)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp