2005年6月19日(日)「しんぶん赤旗」

大型爆弾9発投下

イラク 米軍が大規模作戦

危害直径6百メートル


 イラク駐留米軍は十七日未明、武装勢力の拠点とみるシリアとの国境に近いカイム周辺に対して「槍(やり)作戦」と名づけた大規模作戦を開始しました。その第一波の攻撃は数時間に及び、地上軍の攻撃を援護するため、F16戦闘機を使って破壊能力の高い五百ポンド(約二百二十キロ)爆弾九発を投下しました。

 ロイター通信によると、カイムが属するアンバル州の州都ラマディで同作戦を指揮する海兵隊のプール大尉が明らかにしました。武装勢力の隠れ家、武器庫、米地上軍に砲・銃撃を加えた者を対象にしたとしています。しかし五百ポンド爆弾の破壊範囲は広大で、米軍が口実とする「対象」をはるかに超えるものです。

 米軍は過去六週間、アンバル州北西部のユーフラテス川沿岸地域で攻撃作戦を進めてきました。「槍作戦」はその第三次作戦。米軍の戦車、水陸両用攻撃部隊にイラク部隊が加わり、計千人が参加しているといいます。

 カイム近郊カラビラの住民は激しい銃撃戦が夜を徹して続いたと語っています。カイムの病院の主任医師は、女性一人を含む六人の遺体が運び込まれたと述べています。

 スンニ派組織「イスラム聖職者協会」のカイムの指導者アニ師は十七日、「米軍は事態をエスカレートさせている」と指摘し、民間人を危険にさらしていると抗議。同日の金曜礼拝の後、商店閉鎖など経済活動をストップするゼネストを呼びかけ、住民には外に出ないよう訴えました。

 イラク新政府が暫定国民議会に承認され、正式に発足した四月末以降、武装集団の攻撃で千人を超えるイラク人と米軍兵士百二十人が死亡しています。

 十六日には中部ラマディ近くで戦闘中の米海兵隊員二人が道路脇の爆弾で死亡。十七日にもバグダッドでイラク治安部隊のタンクローリーがシーア派モスクの前を通行中に自爆攻撃を受け、中部ファルージャではイラク部隊の車列が自動車爆弾に遭い、合わせて二人が死亡、十五人が負傷しました。

 治安情勢の悪化と戦闘のエスカレーション・泥沼化は明らかで、米国内でもブッシュ政権への批判が強まっています。

 十六日発表されたCBS放送とニューヨーク・タイムズ紙の合同世論調査は、「米国はイラクから手を引くべきだ」とする人が過半数の51%になり、「イラクでの米国の努力は悪い方向に進んでいる」と答えた人は60%にのぼっています。

 五百ポンド爆弾 火薬の量と弾体を合わせた総重量が五百ポンド(約二百二十キロ)に達する爆弾。爆発に伴う爆風と、弾体が大小無数の破片となって飛び散ることで人を殺傷し、建造物を破壊。その危害範囲は直径約六百メートルに及びます。



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