2005年6月15日(水)「しんぶん赤旗」
「ミサイル防衛」対処
衆院本会議 自衛隊法改悪案を可決
政府が導入を進めている「ミサイル防衛」システムによる弾道ミサイル迎撃の手続きを定めた自衛隊法改悪案が十四日、衆院本会議で自民・公明両党の賛成多数で可決されました。与党は今国会中の成立を狙っています。日本共産党、民主党、社民党は反対しました。
一方、民主党はこれに先立つ衆院安保委員会では、「ミサイル防衛」の推進を前提に「文民統制確保」などを求めた付帯決議には賛成しました。
同法案は、自衛隊法八二条(海上警備行動)に「弾道ミサイル等に対する破壊措置」を新たに追加。(1)発射の兆候がある場合は、首相の事前承認を得て迎撃(2)明確な兆候がつかめない場合は、事前に作成する「緊急対処要領」に基づき防衛庁長官の命令で迎撃――の二類型を明記。国会報告の規定もあります。
自民・公明・民主三党は「ミサイル防衛」は必要との立場で一致しており、三党は委員会での全会一致をめざして法案の修正協議を行ってきました。
民主党は弾道ミサイル迎撃にあたって、国会報告ではなく、事後の国会承認とするなど、「文民統制の徹底」を主張しましたが、与党側が応じなかったため、独自の修正案を提出しました。
このほか、陸海空自衛隊を統合運用する権限を持った「統合幕僚監部」および「統合幕僚長」設置などを盛り込んだ防衛庁設置法改悪案も可決されました。
「ミサイル防衛」
海上や地上から発射する迎撃ミサイルで、弾道ミサイルを撃ち落とすシステム。政府は〇六年度から実戦配備を開始。米国との迎撃ミサイル共同開発も狙っています。
米国が進める「ミサイル防衛」(MD)は敵国の反撃を無力化し、安心して先制攻撃を進めるためのもの。日本の「ミサイル防衛」も、米戦略に沿ったものです。