2005年6月15日(水)「しんぶん赤旗」

主張

米軍再編協議

基地撤去を正面にした交渉に


 日米防衛首脳会談で、ラムズフェルド米国防長官は、大野防衛庁長官の「沖縄を中心とした負担軽減の問題がある」という発言に、「抑止力維持も重要だ」とのべました。在日米軍基地の維持・強化を優先させる考えです。

 今年二月の日米安全保障協議委員会(日本=町村外相、大野防衛庁長官 米国=ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官)の共同発表には、「沖縄をふくむ地元の負担を軽減」も盛りこまれていました。しかし、米軍再編協議は、「負担の軽減」どころか、基地の維持・強化を具体化する舞台になっています。

米政府の高圧的態度

 ラムズフェルド国防長官は、「負担という点では、米国は国民総生産(GNP)の3・5%が国防費だが、日本は0・98%ではないか」とも言っています。米軍基地が住民の負担になっているのに、軍事費負担が大きいのはアメリカだと話をすりかえ、基地による「負担軽減」など問題にするのがおかしい、といわんばかりの高圧的な態度です。軍事費が「負担」だというなら減らせばいいではありませんか。

 米軍は、戦争のない平和な日本と世界を願う日本国民の気持ちをふみにじり、日本を海外侵略の出撃拠点にしてきました。沖縄では、占領、本土復帰から今日にいたるまで、土地強奪、凶暴な米軍人犯罪、米軍機墜落事故、爆音、環境汚染など、県民に言語に絶する痛みと危険を与えつづけています。本土でも、墜落事故の被害や米軍機の低空飛行による騒音など、基地による激痛は同じです。基地をかかえる自治体・住民が、「負担軽減」を求めるのは当然です。ラムズフェルド国防長官発言は、基地による痛みと危険をとりのぞきたいと願う日本国民の気持ちを逆なでするものです。

 小泉内閣のアメリカいいなりの姿勢が、米政府を高圧的にさせています。小泉内閣の米軍再編協議にのぞむ基本は、米軍基地の強化にあります。その一方で、「負担軽減」を口にするのは、基地撤去運動が大きくなることを懸念してのことです。そのため、日米防衛首脳会談でも「負担軽減」の問題は、中心にすえられていません。大野防衛庁長官の態度も、一応口にはしたものの、「沖縄を中心とする問題はあるという話はしました」(四日記者会見)という程度です。基地撤去を求める国民の切実な思いを代弁していません。

 日米防衛首脳会談は、年内に、個別の基地再配置の最終決着をはかることで合意しました。小泉内閣は、国民に表明した「負担の軽減」の約束を履行すべきです。

全国で基地強化反対

 沖縄では、ヘリ墜落事故にさいしての三万人による宜野湾市民大会(二〇〇四年)、二万四千人による普天間基地包囲(〇五年)にあらわれているように基地閉鎖・撤去の要求が流れになっています。神奈川県座間市や相模原市でも市長を先頭に市民ぐるみで、基地機能の強化・基地の恒久化につながる米陸軍第一軍団司令部の移転に反対する運動を展開。岩国でも、米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊やNLP(夜間離着陸訓練)を岩国基地に移転させる構想に反対する運動が、市民ぐるみですすめられています。

 米軍再編・基地強化に反対する流れが、全国的に、かつてなく大きくなっていることが特徴です。

 基地被害をなくすため、日米両政府にたいし、国民の声を大きく響かせていきましょう。


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