2005年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
国交省
速度制限チェックせず
2000年3月以降 JR西ダイヤ改定受理
JR西日本の余裕なし列車ダイヤが事故の背景として問題になっていますが、同社を監督する国土交通省近畿運輸局が制限速度などを守った列車ダイヤかどうかをチェックするのに必要な「運転曲線図」さえ確認せず九回のダイヤ変更届を受理していたことがわかりました。
国交省は国鉄民営化後、ダイヤ変更(運行計画変更)を許可制から届け出制に変えましたが、その際、運転曲線図を添付することが鉄道事業法施行規則で義務付けられています。
運転曲線図とは、列車の走行状態をグラフにしたもの。こう配、カーブ、分岐器(ポイント)、信号位置と、そこを通過する際の列車速度などを示します。これを他の書類と照らし合わせると、制限速度を守ったダイヤ編成かどうかがわかります。
JR西は、一九九七年三月のダイヤ改正時に、福知山線新三田―尼崎間の各駅停車と快速の運転曲線図を提出。その後今まで同区間で九回のダイヤ改正がありましたが、変更がなければ届け出なくていいとする施行規則の規定で、運転曲線図を提出していませんでした。
国土交通省鉄道局技術企画課安全対策室は「運転曲線図の変更がない場合は、ダイヤ改正のたびに以前に添付された運転曲線図で速度制限を守っているか確認する。運転曲線図は無効になってからも一年間保存する」といいます。
ところが本紙の調べによると、近畿運輸局では、運転曲線図について、提出の翌年度末までしか保存しない規定になっていました。同局鉄道部安全対策課は、二〇〇〇年三月からあと九回のダイヤ改正では「運転曲線図との確認はしていない」と本紙に認めました。
北側一雄国土交通相は、国会で、事故を起こした快速ダイヤについて「運輸局で当然チェックし、制限速度内で運行可能と認めている」と答弁しましたが、実際には制限速度を守ったダイヤかどうかさえチェックしていないずさんさでした。