2005年6月7日(火)「しんぶん赤旗」

元CIAテロリスト処罰要求

反テロ国際会議

キューバ

米政府の「二重基準」を非難


写真

「テロに反対し、真実と正義を求める」国際会議=4日、ハバナ(松島良尚撮影)

 【ハバナ=松島良尚】キューバ政府の呼びかけで同国の首都ハバナで開かれていた国際会議「テロに反対し、真実と正義を求める」が四日、三日間の日程を終えて閉会しました。

67カ国から参加

 この会議は、あらゆるテロリストを法律に基づいて厳正に処罰することを主張し、現在、米当局に不法入国で逮捕、拘束されているテロリスト、ポサダ・カリレスの身柄をベネズエラ政府の求めに応じて引き渡すよう米政府に強く要求するために開かれました。

 会議には、中南米を中心に六十七カ国から六百人以上が参加。その多くは、一九七〇年代に南米諸国の軍事政権が共同して左翼勢力や民主的な活動家、市民を逮捕・拷問・殺害した「コンドル作戦」の犠牲者の家族や同作戦の研究家ら。キューバからも約八百人が参加しました。

 約七十人の発言者はそれぞれ、身内や自分自身が受けた「国家テロ」の実態を生々しく語るとともに、軍事政権を支え、弾圧に直接関与してきた米政府の責任を糾弾しました。ポサダら米国に亡命した反キューバ活動家やネグロポンテ元米国連大使ら国務省幹部らによる当時の弾圧への関与も浮き彫りにされました。

 「コンドル作戦」関係諸国の犠牲者家族らが一堂に会したのはこの会議が初めてです。

米軍の暴虐指摘

 発言者らはまた、イラクでの米軍の暴虐ぶりなどを指摘し、「国家テロ」に関与した自らの過去の問題に口を閉ざしたまま「反テロ」をかかげるブッシュ政権の「二重基準」を非難しました。

 キューバのカストロ国家評議会議長は閉会にあたって発言。「証言」で明らかにされた「コンドル作戦」などの残虐性は文明やヒューマニズムと一切無縁だと指摘。参加者の思いはテロ非難と米政府の責任の追及という点で完全に一致しているとのべました。

 また、テロを裁く恒久的な法的機関の創設を提案するとともに、米州機構(OAS)がポサダ引き渡しの措置をとるべきだと主張しました。

 一方、カリブ海諸国の経済共同体、カリブ共同体・共同市場(カリコム)はこの会議にメッセージを送り、ベネズエラへのポサダ引き渡しを支持するとのべました。


 ポサダ・カリレス ベネズエラ国籍も持つ亡命キューバ人。米中央情報局(CIA)の要員として、カストロ議長の暗殺未遂をはじめ、中南米各地で数々の謀略・破壊活動に関与。

 七十三人の犠牲者を出したキューバ民間機爆破事件(一九七六年十月)の共犯者としてベネズエラ当局が逮捕。脱獄して国外逃亡後、米国で逮捕・拘束。ベネズエラは米国と犯罪人引き渡し協定を結んでいますが、米政府はベネズエラの要求が引き渡し要件を満たしていないとして拒否しています。


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