2005年6月6日(月)「しんぶん赤旗」
列島だより
フットサル
思いきり プレーしたい
知ってますか、フットサル――世界ではスペインなどサッカー人口を上回るほどの古くからの人気スポーツです。屋外で室内で少人数で手軽にできるミニサッカーです。「若者や高齢者など誰でも楽しめる」と、いま着実に広がっています。その一端を紹介します。
公設2カ所誕生へ 請願3度“やれば変わる” 東京・港
東京・港区に公設のフットサル場が二つ誕生します。区内の青年と民青同盟港地区委員会の四年越しの運動の成果です。
五人で気軽にできるフットサルは、いま若者に絶大な人気です。
難点はフットサル場の利用料が高いこと。一時間コートを借りると一万―一万五千円…。しかも区内には、民間コートが一カ所あるだけです。
運動のきっかけは、二〇〇〇年の民青同盟主催のスポーツ大会でした。参加したフットサル好きの青年が、「フットサル場は高くて借りられない。ぼくのチームは中学生や高校生が多い。だから公園の隅でやるしかないんだよね」と話しました。青年といっしょに民青同盟の班が中心になって運動が始まりました。
まず、班主催のフットサル大会を開催。小学校の校庭を借り、トロフィーもつくりました。フットサル場の設置を求める署名をつくって集め、議会に提出しました。議会では日本共産党区議会議員や、くぼた光前都議の協力を得ましたが結果は残念ながら継続審議…。
そこで、班の人や青年たちは、「フットサル場設置の会」を結成。毎月、フットサル大会を開き、審判も自分たちで務め、チーム同士の親ぼくを深めました。「設置の会」に参加した青年は総勢約百五十人。みんなで署名や声を集め、交流しながらフットサル場の実現を求めました。
しかし、二度目の請願はまたしても継続審議。“三度目の正直”となる請願を提出した〇四年三月議会では、フットサル場が待たれていること、競技人口が増えていること、班の青年たちが調べた他区のフットサル場の実態、大会参加者の声などをもとに趣旨説明をおこないました。
この請願も継続となりましたが、フットサル場の必要性は行政に届き、前向きにとりくむ方向が出されました。このねばりが区を動かし、ついに今年度予算にフットサル場設置が盛り込まれたのです。
その額は二億四千万円。署名を集めたチームや青年たち、班員は驚きと、「やれば変えられる!」と喜びの声をあげました。運動を通じてフットサル青年の仲間の輪も大きく広がりました。
来年初めには一つ目の施設が完成する予定です。班はいま、チーム単位でアンケートにとりくみながら利用方法などで区と交渉をおこないたいと、準備をすすめています。(東京・民青同盟港地区委員会委員長 岡田麻里)
コート手づくり毎月試合 「リーグ」発足、ネット広がる 千葉市
千葉市の稲毛海浜公園の多目的広場はサッカーなどができる芝のスペースとして開放され、休日ともなればいつも八十人近くの青年たちがサッカーに興じています。
そこには、パイプをつないだゴールと、ひもで手づくりのコートをつくり、周りの人たちを誘って一緒にフットサルを楽しむ若者の姿があります。
きっかけは、昨年の秋、民青同盟の企画として行ったフットサル大会。多くの青年が参加して盛況でしたので、引き続き開催していこうという話になりました。
初めは、民間の施設を借りたのですが、利用料は一時間一万円以上もして使いづらいため、公園でもボールとゴールがあればフットサルが楽しめるのではないかという話になりました。
同時に、市に対して安く使える公営のフットサル場をつくってほしいという請願署名を集めて要請することになり、名称を「Fつくリーグ」として活動を開始しました。
いまでは月二回開催し、毎回四―六チームほど参加してリーグ戦をしています。
フットサルを通じて交流を深めながら話を聞くと、「市が管理するサッカー場は少なく、申し込んでも抽選でなかなか使用できない」「民間の施設は高すぎる」との声が寄せられ、署名にも快く応じてくれます。
「ぜひまた誘ってください」という話になります。そこで、メールを通じて次回の予定を伝え連絡しあっています。
開催するたびに、つながりが広がり、今では八十人くらいのネットワークになっています。
署名数はまだ二百人分を超える程度ですが、気軽に集まって遊んだりスポーツできる環境を求める青年の願いは切実であることを感じます。
まっとうな青年のスポーツ要求を楽しく、仲間を広げながらぜひ実現させたいです。(千葉・Fつくリーグ代表 小島秀也)
ここが魅力
フットサルとは、サッカーの「Fut」(スペイン語)と室内を意味する「Sal」(ポルトガル語)を合わせた言葉。古くからミニサッカー、サロンフットボールといわれ、少人数でプレーするサッカーとして親しまれてきました。
フットサルの起源には二つの大きな流れがあり、(1)南米のブラジルを中心に、弾まないボールを使う「サロンフットボール」(2)ヨーロッパ、北米などで広がった室内でプレーし、壁のはね返りを利用する「インドアサッカー」―の二つが発展して今日に至っています。
特徴は(1)若者、女性、子ども、高齢者など誰でも気軽に参加できる(2)五人制の少人数でできるゲーム(3)狭いコートですむ。体育館や屋外の人工芝でも可能(4)スピーディー。フリーキックなど四秒ルールで迅速(5)接触プレーなど危険な行為を禁止―などです。
現在のルールと名称は一九九四年、国際サッカー連盟(FIFA)が、各国で行われていたルールを統一したもの。
日本のフットサル人口は五十万人ともいわれますが、競技会場が少ない、会場費が高い―など、まだまだ気軽に楽しめる状況にはなく、若者たちから公共施設の設置など求める声が広がっています。