2005年6月4日(土)「しんぶん赤旗」
独・ポーランドの教師交流集会
侵略の歴史伝え続ける
ベルリン
【ベルリン=片岡正明】ドイツとポーランドの教師が二日、歴史問題の交流集会をベルリンで開きました。
ドイツ側からはベルリン市とブランデンブルク州の教師約百五十人、ポーランド側からは教師五十人が参加。第二次世界大戦でのドイツによる侵略と虐殺への反省に立ち、歴史認識を共有することが欧州統合に重要な役割を果たすとの意見が出ました。
ベルリンの教師は二十年来、ポーランドで教師間の交流を続けています。ベルリンでの交流は初めてで、戦後六十年を記念して開かれました。
午前中のパネル討論会で出席者は「欧州連合(EU)でドイツとフランスが西欧の統合を推し進める機関車の役割を果たした。東欧ではドイツとポーランドがその役割をはたす」と強調。「ナチス・ドイツのポーランド侵攻と大量虐殺、戦争直後のポーランドからのドイツ系住民の追放といった否定的事実を直視しながら関係を深めていこう」との意見も出ました。
第二次大戦後、ドイツとポーランドの国境は、ドイツ領の東部分を大きく削る形で西に移動。ポーランド領になった地域のドイツ系住民一千万人以上がドイツに追放され、飢えや疲労で多くの死者を出しました。シュレーダー独首相は五月十七日、「原因はドイツが仕掛けた戦争にある」と述べ、ドイツ系住民追放を理由にドイツの戦争責任を軽くしようとする論議は誤りだとの立場を明確にしています。
午後は▽ナチスの強制収容所や戦争碑めぐりを通じた教育経験交流▽外国語としてのポーランド語とドイツ語の相互教育▽第二次大戦を子どもたちにどう伝えるか▽ドイツ・ポーランド隣接地域の生活・文化・職業――などのテーマで経験や意見を交換しました。
ポーランドのポズナニから来た歴史教師、タマラ・オルシェフスカさん(44)は「ドイツ人の追放をどう扱うかを含め、理論的、政治的な問題はまだ残っています。しかし、子どもたちは互いに触れ合い、将来をともに生きることに関心を持っています。子どもたちに必要な経験をぜひ教育現場に持ち帰りたい」と話していました。
ドイツのジャーナリスト、ユルゲン・ブッフさん(30)は「二国間の市民が互いに対話をし意見を聞くことで、自分の視点が狭かったことに気がついていきます。この中からきっと、共通の教育計画が発展していくのではないかと期待しています」と語りました。