2005年6月2日(木)「しんぶん赤旗」
落札率99%以上38件
道路公団発注の橋梁工事
本紙調査 930億円の不当利益か
日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事で、予定価格にしめる落札額の割合(落札率)が99%以上のものは五年間で三十八件。一件を除き談合組織のメンバー企業が受注していた――こんな実態が本紙の調べでわかりました。うち十三件はムダ遣いと指摘されている第二東名・名神高速道路工事。官製談合でなければ不可能な高い落札率で受注、多額の不当利益を得ていた構図が浮き彫りになっています。
本紙が調べたのは、日本道路公団が二〇〇〇年度―〇四年度までの五年間に発注した鋼鉄製橋梁工事の四百二十九件。平均落札率は97・46%です。
落札率が予定価格すれすれの99%以上だった工事は三十八件。一件を除き独占禁止法違反(不当な取引制限)で検察当局の捜査対象となっている談合組織「K会(旧紅葉会)」「A会(旧東会)」加盟四十九社が共同企業体(JV)などに入り受注しています。
このうち公団が現在建設を進めている第二東名・名神高速道路工事が十三件。同工事は総事業費が五兆円を超える巨大プロジェクトで、落札額も十三件で二百六十七億円にのぼります。
〇一年二月に入札のあった「第二東名高速道路吉原高架橋」工事は、日本鋼管(現JFEエンジニアリング)・日本橋梁・佐藤鉄工所JVが五十三億五千五百万円で落札。落札率は99・04%です。
公正取引委員会によると、過去の入札談合事件の不当利得の平均値は18・6%。「第二東名高速道路吉原高架橋」でみると一工事で十億円近くが企業の不当利益となり、国民にとっての損害となります。鋼鉄製橋梁工事の年間市場規模は約三千五百億円でうち同公団発注分は約一千億円。18・6%で計算すると、五年分の約五千億円で約九百三十億円も国民が損害を受けた計算になります。
道路公団が発注しK会・A会企業が受注した
鋼鉄製橋梁工事で落札率が99%をこえるもの
工 事 名 | 落札率(%) |
日本海東北自動車道胎内川橋 | 100 |
東海環状自動車道土岐JCT橋環境整備工事 | 99.98 |
名神高速道路桂川橋北工事(2) | 99.94 |
東京外環自動車道栄高架橋南(2) | 99.94 |
第2名神高速道路信楽第一橋(2) | 99.94 |
近畿自動車道東大阪高架橋鋼製橋脚補強工事 | 99.93 |
関越自動車道越後川口橋災害応急復旧工事 | 99.91 |
高知自動車道しなね橋 | 99.86 |
東海環状自動車道土岐川橋橋梁付属物工事 | 99.8 |
第2東名高速道路藁科川橋東(2) | 99.79 |
第2東名高速道路花園高架橋東(2) | 99.75 |
中央自動車道新道橋鋼上部工(2)工事 | 99.74 |
阪和自動車道平井高架橋(2) | 99.63 |
第2名神高速道路新治橋 | 99.62 |
東名高速道路酒匂川橋支承改良南工事 | 99.57 |
第2東名高速道路花園高架橋西(2) | 99.57 |
中部横断自動車道滝沢川橋 | 99.54 |
東名阪自動車道牧ノ原高架橋 | 99.53 |
第2東名高速道路共栄跨線橋(2) | 99.47 |
関越自動車道木沢川橋災害復旧工事 | 99.46 |
第2東名高速道路吉原高架橋(2) | 99.45 |
東名高速道路柳沢第2橋耐震補強工事 | 99.44 |
米子自動車道佐陀川橋 | 99.39 |
岡山自動車道桜川橋 | 99.38 |
中央自動車道小原第一橋拡幅(2)工事 | 99.37 |
第2名神高速道路亀山東JCT,Dランプ橋 | 99.29 |
鳥取自動車道中西橋 | 99.26 |
第2東名高速道路安倍川橋(3) | 99.18 |
第2東名高速道路伊佐市IC橋 | 99.17 |
東海環状自動車道飛騨川大橋橋梁付属物工事 | 99.16 |
東名高速道路寺小橋西架設工事 | 99.15 |
中央自動車道道谷後橋補強工事 | 99.1 |
第2東名高速道路名古屋南IC、Kランプ橋工事 | 99.08 |
第2東名高速道路吉原高架橋 | 99.04 |
鳥取自動車道美成高架橋 | 99.04 |
東北自動車道馬見ヶ崎川橋 | 99.02 |
第2東名高速道路上倉橋 | 99 |