2005年5月31日(火)「しんぶん赤旗」
米軍
スンニ派党首逮捕
バグダッド 大統領が釈放要求
【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は三十日未明、イスラム教スンニ派の有力政党、イラク・イスラム党のモフセン・アブドルハミド党首をバグダッド市内の自宅で逮捕しました。バグダッドでは米軍とイラク軍あわせて五万の大部隊が二十九日に武装勢力掃討を口実とした軍事作戦を開始しましたが、今回の逮捕は占領批判勢力に対する弾圧とみられています。
イスラム党は声明を発表し、「挑発的で愚かな行為であり、状況を複雑にするだけだ」と批判。親米として知られるタラバニ大統領も、「政治指導者をこのように扱うことは断じて受け入れられない」と即時釈放を要求しました。
アブドルハミド党首の妻はカタールの衛星テレビ・アルジャジーラに対し、米軍は同党首と三人の息子を逮捕したうえ、部屋を荒らし、現金や貴金属、そしてパスポートなど身分証明書を持ち去ったと語りました。
イスラム党は、治安悪化を理由に今年一月末の暫定国民議会選挙をボイコットし、占領軍の撤退日程の設定を要求する一方、憲法起草など今後の政治プロセスには積極的に参加する意思を示していました。
治安改善を目指すイラク移行政府にとって、議会で少数のスンニ派勢力をいかに政治プロセスに取り込むかが重要視されていました。