2005年5月29日(日)「しんぶん赤旗」
歴史学び未来を築く
東京・杉並 日韓の市民がシンポ
東京・杉並区で二十八日、「共通の歴史認識を求めて」をテーマに日韓の「区民シンポジウム」が開かれ、同区と友好都市の提携をしている韓国ソウル市の瑞草(ソチョ)区の区長や国会議員が「歴史の事実を伝えてほしい」と訴えました。
元杉並区教育委員の大門哲さんを実行委員長に幅広い区民でつくる「杉並・瑞草区民シンポジウム実行委員会」が主催。在日韓国人も含め二百三十人が参加しました。
瑞草区選出の国会議員・李恵薫(イ・ヘフン)さんは「日韓両国の人々は戦争で人権をじゅうりんされ、命を奪われた。間違いを繰り返さないためには、何が間違っていたかを伝えていかなければならない」とのべ、侵略を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を批判しました。
趙南浩(チョ・ナモ)瑞草区長は日本の植民地時代だった小学生のとき学校で朝鮮語を使ったとき教師に激しく怒られた体験などを語り、「認識に違いがあっても歴史の事実をありのままに記し、後生につたえることは私たちの義務」とのべました。
君島和彦東京学芸大教授をコーディネーターに日韓両国の教師、保護者、青年たちが討論。「韓国にいって日本の侵略の実態を知るとともに『これからどういう未来を築くか一緒に考えていきましょう』といわれ感動した。対話すれば理解し合えると確信した」(平和運動をしている日本の青年)と語り合いました。
実行委員会では杉並区の山田宏区長にも参加を要請しましたが、区長は理由を明らかにしないまま断りました。李議員や趙区長が面談を申し入れたにもかかわらず、会おうとしませんでした。この点について趙区長はあいさつのなかで「(歴史教科書問題で)接触を求めたが、成果がなかった」と語りました。