2005年5月29日(日)「しんぶん赤旗」
高齢者医療費
自己負担 2〜3割に
財政審が引き上げ提言へ
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は二〇〇六年度予算編成に向けて、来月六日にまとめる「建議」(意見書)の中で、社会保障給付の抑制に向け、七十歳以上の高齢者の医療費自己負担を引き上げるよう提言する方針を固めました。
医療費の自己負担は現在、六十九歳以下は一律三割負担で、七十歳以上は原則一割(一定所得以上は二割)です。
小泉内閣はサラリーマン本人の三割負担導入によって、若年層の医療費を抑制。財務省はこれにつづいて、高齢者の医療費抑制を二○○六年に予定されている「医療改革」の重要な柱と位置付けています。今後は、七十歳以上の自己負担を原則二―三割に引き上げる方向で政府内調整を進めたい考えです。
意見書は、医療費全体の伸びを経済成長率と整合性の取れた範囲に抑制する必要性を指摘。一定額以下の少額医療費を公的保険の適用範囲から外して全額自己負担として患者に押しつける「免責制度」の導入も検討しています。
一方、特許期間を過ぎても価格が後発品の二倍程度と割高な先発医薬品の多用を防ぐ仕組みの検討も提言する予定です。
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二〇〇六年に予定されている医療制度「改革」をめぐっては、現在、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会医療保険部会で、具体案のとりまとめにむけた議論が続けられています。厚労省は今秋に「改革案」のたたき台を示す予定。年内に政府・与党案をまとめ、来年の通常国会に関連法案の提出をめざしています。
高齢者の患者負担については、具体案はまだ出ていませんが、すでに三割負担になっている現役世代との「公平性」を確保する観点から検討する方針です。社保審の医療保険部会では、日本経団連や健康保険組合連合会の委員から、高齢者の患者負担を二―三割負担に引き上げるべきだという意見が出ています。
政府の経済財政諮問会議では、医療費など社会保障給付費の伸びを経済成長率と同程度に抑えるべきだとの議論がされています。