2005年5月29日(日)「しんぶん赤旗」
主張
米第一軍団司令部
市民は基地恒久化を拒否する
米軍「キャンプ座間」を市域内に持つ神奈川県座間市と相模原市は、米本国にある陸軍第一軍団司令部の座間移転に市をあげて反対運動にとりくんでいます。
座間では、市・議会・自治会連絡協議会で構成する「座間市連絡協議会」が移転反対の署名にとりくみ、約十二万九千人市民の半数に近い五万九千七百六十九人を集め、国に提出しました。相模原市も六月に、六十二万人市民のうち二十万人の署名を目指してとりくみます。
戦争を指揮命令する
市をあげて移転に反対するのには理由があります。「座間市総合計画」は、「行政運営に多大なる障害となる」として「基地の全面返還を基本姿勢」にしています。また、一九七一年にキャンプ座間に自衛隊が移駐(一部共同使用のため)した際、政府は、市にたいして「基地縮小について最大限の努力をする」と約束していました。基地の強化はそれに「逆行」します。署名のよびかけは、これらの点をあげ、「基地の現機能以上の強化・恒久化に繋がる移転は到底容認することはできません」と訴えています。
相模原市でも、市・議会・自治会などで構成する米軍基地返還促進市民協議会が、「市民生活やまちづくりに大きな障害」だとして、「基地機能の強化及び基地の恒久化」につながる第一軍団司令部移転を「到底容認することはできません」とくりかえし国に要請しています。まちづくりのために米軍基地を返還させたいという両市の要求は切実です。
第一軍団司令部の移転が基地の恒久化につながるという両市の指摘は根拠があります。
ブッシュ大統領は、米軍事態勢の世界的再編が、「二十一世紀の戦争をたたかい、勝利するのを助ける」(二〇〇四年八月)とのべています。
米陸軍第一軍団は、アジア太平洋を中心にした地域的規模のアメリカの有事に対処するためにつくられた常設の統合任務軍です。朝鮮戦争をはじめ、中東・中南米などの地域紛争に参戦してきました。第一軍団司令部はこうした戦争を指揮してきました。「キャンプ座間」に移転する司令部はどのような形になろうとも、戦争を指揮命令することは間違いありません。日本は、極東かどうかにかかわらず日本防衛と無縁なアメリカの戦争を指揮命令する司令塔にされます。指揮命令する戦争の範囲は「極東」に限られるなどと一部で伝えられますが、その保障はありません。それどころか米陸軍の再編の担当者である陸軍参謀本部のスミス大佐は、「地域にしばられない」(〇四年十二月)といっています。
「キャンプ座間」を後方支援の役割から戦争を指揮命令する基地に変質させる第一軍団司令部の移転を許すわけにはいきません。
強要は許さない
座間市の連絡協議会と相模原市の市民協議会は昨年来、くりかえし司令部移転反対を申し入れてきました。しかし、政府は、基地再編協議の最終決着を目指して協議しているにもかかわらず、「協議中で話すことはない」としていっさい説明を拒否しています。両市は、「日米両政府が結論だけを押しつけてくるのではないか」との懸念を強めています。憲法の地方自治の原則にもとづいて表明している両市の移転反対の意思を無視する政府の態度は許せません。
米軍再編に反対する自治体・市民と連帯を強め、日本を国連憲章違反の米先制攻撃戦争の司令塔にさせない運動を広げましょう。