2005年5月28日(土)「しんぶん赤旗」
03年沖縄 米軍が管制ミス
日航機と異常接近
国交省事故調が報告書
那覇空港の周辺
二〇〇三年十一月七日、那覇空港上空で日航933便が米軍のF15C戦闘機とニアミス(異常接近)した問題で、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は二十七日、管制官の訓練中だった米軍側のミスが原因とする事故調査報告書を公表しました。原因究明に必要なフライトレコーダー(飛行記録装置)の回収が遅れ、記録を消失させた日航側の問題も指摘しました。
報告書によると、着陸体勢に入った933便(乗客・乗員五百九人)の機長が、前方にF15戦闘機二機の機影を確認。機長は「こちらに向け飛行してくるので危ない」と感じたとき、TCAS(空中衝突防止警報装置)のRA(緊急回避)が作動し、933便は高度約二百七十四メートルまで降下。この際、上昇する戦闘機とすれ違い、約五百八十三メートルまで接近しました。
米軍が内部調査した結果、嘉手納基地では訓練生と教官管制官が管制業務をしていました。教官がヘリコプターが着陸寸前だったのに戦闘機を優先させた訓練生の判断を撤回し、戦闘機への指示を左旋回から右旋回に変更しました。このため、戦闘機が933便に接近する形になったもの。
一方、日航機のフライトレコーダーは二十五時間分の容量がありますが、日航側が保管しなかったために記録が上書きされ、消失していました。事故調は「記録を保存すべき事態について明確に規定されていなかった」とし、今後は迅速かつ確実な回収の徹底を求めています。
米軍は対策として(1)管制官の再教育(2)乗員に民間航空の情報を徹底する―としています。