2005年5月23日(月)「しんぶん赤旗」

事件リポート

不要リフォームで認知症姉妹 食いもの

中国で買春事件の業者も 


埼玉・富士見

 埼玉県富士見市で認知症(痴ほう症)の八十歳と七十八歳の姉妹が十六社の訪問リフォーム業者に不要な工事を繰り返され、預金四千万円を引き出されたうえ、家を競売にかけられそうになった問題が、波紋を広げています。

 埼玉県警入間署では、詐欺事件の可能性もあるとみて情報収集を開始し、市役所などから資料の提供も受けています。埼玉県や経済産業省も調査を始めています。

家が競売にも

 事件が報道されたのは、五月初めのこと。それによると、今年三月、近所の人から、姉妹の家が競売にかけられているようだとの問い合わせがありました。消費生活相談員が姉妹の自宅を訪ねたところ、二〇〇二年からのネズミやシロアリ駆除、多数の換気扇の設置、補強金具の取り付けなど約三千六百万円のリフォーム工事の契約書、請求書が見つかりました。大半が不必要な工事でした。

 預金はすべて引き出され、工事代金がさらに七百万円不足したという業者の申し立てで競売にかけられたといいます。競売は富士見市の申し立てで中止になりました。

 高齢者を食いものにしたのは十六社。工事代金が高額な会社は二千五百九十万円、六百四十九万円、六百四十万円、四百十一万円と四社にのぼっています。

 実態のない幽霊会社も二社含まれています。

 全国的にも、年間約九千件もの訪問リフォームによる苦情が国民生活センターに寄せられており、注意が必要です。

所得隠し摘発

 富士見市の事件を起こした十六社のなかには、中国で集団買春事件を起こし、ひんしゅくをかった企業も入っています。六百四十万円の工事契約を結んでいた企業です。

 この企業は、大阪府吹田市の「幸輝」(資本金八千万円)です。一九九二年に設立され、従業員四百人の会社ですが、二〇〇一年の売上げ六億八千万円を〇四年は六十四億五千万円と十倍近くに急増させています。

 埼玉県さいたま市や東京都大田区にも支店を置いています。

 問題の集団買春事件は一昨年九月中旬、「幸輝」が営業成績の良い社員の表彰式をかねて二百八十八人を連れて中国に慰安旅行に出かけ、広東省珠海のホテルで宴会。そこに約三百人のホステスを送り込み、多くの社員がホステスを部屋に連れこんだというもの。この事件は中国国内で激しい反日感情を引き起こしました。

 売春目的のホステスを斡旋(あっせん)したホテルの中国人幹部ら二人が組織売春罪で中国当局に逮捕され、無期懲役を言い渡されました。依頼した「幸輝」の常務(当時)ら三人は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配されましたが、当時の福田官房長官は捜査には協力するが、犯人の引き渡しには応じかねることを明らかにしています。

 同社については、買春事件当時、強引な飛び込みの営業の仕方についていけないと辞めた社員もいるという指摘もあります。事件後、大阪国税局が所得隠しも摘発しています。

 社員を悪徳商法にかり立て、その褒美に買春旅行――そんな構図が見えてきます。


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