2005年5月22日(日)「しんぶん赤旗」

米軍再編 普天間基地どこへ

行き詰まるたらい回し


 在日米軍再編で焦点の一つになっている米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)――。同基地に代わる新基地(同県名護市辺野古沖)の建設計画は一年以上にもわたる座り込みなど県民らの強い反対で行き詰まり、別の県内・国内移転案も地元自治体や住民らが猛反発しています。「沖縄の負担軽減」のためには普天間基地を海外に撤去するしかないことが明らかになっています。

 (田中一郎)


再浮上した嘉手納案

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手をつないで米軍普天間基地を包囲する市民=15日午後、沖縄県宜野湾市

 政府はこの間、辺野古沖に新基地を建設するため、二十四時間態勢でボーリング(掘削)調査を強行する構えをみせています。一方で、日米両政府内などで辺野古沖以外の県内・国内に普天間基地の部隊・機能を「分散移転」する案を検討する動きも活発化しています。

 「普天間基地の海兵隊航空部隊は、嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)か岩国基地(山口県岩国市)に移転すべきだ」

 米軍再編に関する米議会の調査機関「海外基地見直し委員会」が五日に出した勧告です。

 日本政府内では、普天間基地のヘリ部隊の移転先として米空軍嘉手納基地が最有力の案になっているとも報じられています。

 防衛庁は、一九九六年の沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告を策定する過程で、普天間基地の嘉手納移転案を検討したことがあります。結局、米空軍の反対で同案はつぶれ、今の辺野古沖案につながりました。それが再浮上した形です。

 SACO最終報告とりまとめの中心人物だったキャンベル元国防副次官補も「名護市辺野古沖への移設はもはや戦略的に意味をなさない」として、「分散移転」案を支持する考えを示しています。(「日経」十六日付)

 これに対し、日本政府の高官は「辺野古しかない」と力説します。嘉手納移転案については「普天間で危険なものを、嘉手納で危険でないといえるか。(移転をすれば)地元が嘉手納基地の撤去を求めることにも波及しかねない」といいます。

 地元・嘉手納町の宮城篤実町長は「いかなる条件でも新たな部隊の配備は迷惑」(沖縄タイムス十四日付)と反対の姿勢を明らかにしています。

沖縄駐留に米が固執

 米側は、中国「脅威」論などを口実に、沖縄の海兵隊を基本的に維持する姿勢を強めています。

 米議会の「海外基地見直し委員会」の報告書は「沖縄での戦闘能力を削減することは、東アジア地域における米国の国益に大きな危険をもたらしかねない」と強調しています。

 前出の日本政府高官によると、米側は今年三月ごろから、嘉手納基地とは別に、もう一本の滑走路が沖縄に必要だと日本側に要求しています。米側があげた理由は「抗たん性」。嘉手納基地が攻撃を受けても、別に使える滑走路を確保しておきたいというものです。もし別の基地に普天間基地の部隊や機能が移転されても、基地そのものは有事使用に備えて残される危険さえあります。

 現に、自衛隊管理にして普天間基地は維持するという案も浮上しています。

 こうした中で在沖縄米軍の再編の「目玉」を、キャンプ・コートニー(うるま市)にある第三海兵遠征軍司令部のグアム移転にする動きも報じられています。しかし、これは「いちばん県民の負担になっていない基地」(前出の政府高官)という声もあります。

海外撤去こそ

 普天間基地の撤去とともに、辺野古沖などの「県内移設」反対を掲げた十五日の普天間基地包囲行動―。過去最高の約二万四千人が参加し、「沖縄に基地はいらないぞ」「日本にも基地はいらないぞ」と唱和する声が基地を包みました。宜野湾市の伊波洋一市長は「海外への普天間基地移転を強く求めていこう」と訴えました。


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