2005年5月22日(日)「しんぶん赤旗」

主張

葛飾ビラ配布裁判

言論の自由と憲法を守ろう


 葛飾飾ビラ配布弾圧事件の公判が、東京地裁で始まりました。

 そもそも、裁判になること自体がおかしい事件です。「被告」とされた男性は、昨年十二月、東京都葛飾区内のマンションに日本共産党の「都議会報告」と「区議団だより」を配布しました。東京地検は、その行為を「住居侵入」だと言いがかりをつけて、起訴しました。憲法で保障された言論活動にたいする政治弾圧であり、人権を侵害する暴挙です。

 憲法第二一条で保障された言論・表現の自由を守ろうと、多くの市民が裁判の傍聴につめかけました。

民主主義支える活動

 憲法第二一条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定めています。これなしに民主主義は成りたちません。

 議会制民主主義の発展のためには、主権者である国民に、情報がきちんと提供されなければなりません。日本共産党は、「国民こそ主人公」という立場を貫き、議員の活動や議会の様子、政治の動きを、国民、住民に知ってもらうよう努力しています。これは、議会制民主主義を支え、政治をより良い方向に発展させるうえで重要であり、住民の「知る権利」に応える活動です。

 東京では、都民が審判を下す都議選が近づいており、いつにも増して、積極的な言論活動が求められています。

 憲法で保障された言論・表現の自由、民主主義の根幹を支える政治的表現活動を弾圧、抑圧することは、戦前のような暗黒政治に逆戻りさせることを意味します。検察は、不当な起訴を取り下げるべきです。裁判所は、不当な起訴を許さない立場に立ち、公訴棄却とすべきです。

 マンションの共用通路は、新聞の配達や勧誘、電気・ガス・水道の検針など、外部の人も通ることを予定しています。「都議会報告」など政党のビラを配ったのだけを「住居侵入」だという検察の主張は非常識です。検察は、住民に害を与える行為であるかのように描こうとしていますが、民主主義社会の根幹を成す言論活動、政治的表現活動を「有害」視する反憲法的な姿勢を浮き彫りにするだけです。

 東京地検は、昨年も、防衛庁立川宿舎に「イラク派兵反対」のビラをまいた人を「住居侵入罪」だとして起訴しました。この裁判で、東京地裁八王子支部は、昨年十二月、こうした行為で刑事責任を問うのは憲法上疑問があるとして無罪判決を出し、「政治的表現活動」の意義を次のようにのべています。「憲法二一条一項の保障する政治的表現活動」は「民主主義社会の根幹を成すもの」として「商業的宣伝」に比べて「優越的地位が認められている」。

背景に憲法改悪策動

 この間、言論・表現の自由、思想・良心の自由を抑圧する弾圧は、葛飾や立川の事件に限りません。憲法改悪反対と書いた「しんぶん赤旗」号外を配った人が公務員であるのに目をつけ、職務とは無関係な休日の一市民としての活動なのに、「国家公務員法違反」を口実に逮捕・起訴した事件もあります。

 警察・検察の露骨な国民弾圧の背景には、小泉自公政権の強権的姿勢や自民党などの憲法改悪策動があります。九条改憲によって、日本を再び「海外で戦争する国」につくりかえようとしており、国民への統制強化をはかっています。

 言論弾圧を許さず、憲法を守るたたかいを大きく広げましょう。


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