2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
BSE
全頭検査で安全確保
専門委員が緩和の動き批判
二十日の衆院農林水産委員会に参考人として出席した、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会の山内一也東大名誉教授は、同委員会のBSE(牛海綿状脳症)対策の全頭検査緩和答申について「納得がいかないまま(検査)月齢見直しの審議をおこなわざるを得なかったことは残念」とのべました。専門委員が、答申内容を国会の場で発言したのは初めてです。(4面に詳報)
山内委員は「危険部位除去と全頭検査が相補って食肉の安全を確保している」と指摘。「このすぐれた安全対策が、貿易のさまたげという観点から見直しを迫られている」と批判しました。また、答申にもりこまれた、全頭検査緩和を批判する意見について「(農水省など)リスク管理機関がどのように留意するか見守りたい」と訴えました。
日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は、今後諮問が予定されている米国産牛肉輸入再開にむけて、農水省が米国内の飼料規制をリスク評価の対象としないとしている問題や、データが少ない米国のリスク評価の可能性などを質問。山内委員は「専門調査会の審議では、米国でのBSE汚染度、病原体の蓄積量、食肉の汚染度などとともに、飼料規制もはいってくる」とのべました。
米国式格付けと月齢とを結びつける問題点をめぐって、高橋議員は「米国ではさまざまな交配種があり、肉質も違うのにアメリカが示したサンプルのデータが、どの牛の種類でも成り立つのか」と質問。牛の月齢判別に関する検討会座長の沖谷明紘日本獣医畜産大学教授は、年間約三千五百万頭という「全部の母集団を完全に反映しているとはいえない。それは不可能だ」と答えました。