2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
米核戦略
非核国への攻撃想定
参院予算委 緒方氏告発に首相「抑止力」
ブッシュ米政権が、核先制攻撃を想定した政策をつくりあげようとしている問題で、日本共産党の緒方靖夫議員は二十日の参院予算委員会で、非核兵器保有国まで対象にしている危険性を指摘し、被爆国として、米国に検討中止を求めるよう迫りました。
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緒方氏が示したのは、米統合参謀本部作成の「統合核兵器作戦ドクトリン」の「第二次最終調整版」(三月十五日付)。各地域の戦闘軍司令官が核兵器使用の承認を大統領に要請する八ケースを例示。そのなかで「圧倒的に強力な敵の通常戦力に対抗する場合」として、核兵器をもたない通常兵器の軍隊への対抗もあげています。
米国はこれまで「非核国は核攻撃しない」ことを国際公約としてきました。
緒方氏は、ドクトリンを手に、「米国はこの政策を転換しようとしている」「日本政府としても、許されないのではないのか」とただしました。
小泉純一郎首相は「核兵器の使用・先制攻撃はあってはならない」としながらも、米国の政策転換については「核の廃絶が望ましいが、いかなる軍備も抑止力として機能している面が強い」として、核抑止力論を口実に米国を擁護する立場を示しました。
八ケースには、自衛隊がイラクで参加したような「多国籍軍の作戦を確実に成功させようとする場合」や、日本に原爆が使われたケースを再現する「米国に有利な条件で戦争を迅速に終結させようとする場合」もあげられています。緒方氏は、このことも示しながら「米国の『核の傘』への依存と、核兵器廃絶は絶対に両立しない」と批判しました。
また、二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で核兵器保有国が「自国の核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」を合意し、最終文書で明記されたことについて、日本政府も「歓迎する」と評価していたことを指摘。ところが、五月からニューヨークで開かれている再検討会議では、日本政府は同合意の履行を核保有国に迫る立場を示していません。緒方氏は、これを批判し、「再検討会議では、核抑止論が合意を妨害していると批判されている。被爆国としての日本の立場を貫くべきだ」と求めました。