2005年5月20日(金)「しんぶん赤旗」
都政の無駄遣い「臨海」を歩く
バブルのなれの果て
未利用の空き地
あの手この手で救済
「三セク」の損失
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「二十一世紀のモデル都市。それが臨海副都心なのです」
都出資の第三セクター、東京臨海副都心建設が運営する「青海フロンティアビル」二十階に都が設けた臨海副都心PRコーナー。都が五億八千万円かけてつくった展示用模型の宣伝文句です。
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しかし、窓の外に広がる光景は、こんな宣伝が空文句であったことを如実に示しています。
東京ドーム九十四個分、四百四十二ヘクタールの埋め立て地に企業都市をつくるとした「臨海」開発。バブルの崩壊で当初の計画は完全に破たん状態です。
開発をすすめる臨海会計の借金残高(利息も含む)は約八千億円。三―四年あとには、返済に行き詰まるとの指摘もされています。
「二十一世紀のモデル都市どころか、税の無駄遣いの典型、バブルの夢のなれの果てですよ。こんな無駄はやめるしかない」。眼下に広がる未利用の空き地を見つめながら、ふるだて和憲都議(板橋区)は語りました。
都庁内から批判
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一行は、お台場海浜公園から、青海の第三セクターのビルまで歩き、進出企業や対岸の超高層ビル群などを視察。お台場海浜公園の砂浜は、進出企業のために、都が二億円以上使って、白砂を敷き詰めたものです。これには、都庁内からも「無駄遣いだ」と批判があがったほどです。
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都は、企業誘致をすすめるため、都幹部職員に二千社の企業訪問をさせたり、国の施設を誘致するなど、あの手この手を使ってきましたが、処分できていない土地は、処分対象面積全体(百三十九ヘクタール)の四割近く残っています。
中村みのる都議候補(大田区)は「福祉は民間へ移し、不動産事業は東京都で、というのは逆さまだ」と話します。
「一番わかりやすい、売れ残りの土地がここです」。そねはじめ都議(北区)が指さしたのは、フジテレビの南側に広がる広大な駐車場です。
そこは、処分できずにいる遊休地を、大赤字で苦しむ東京テレポートセンターの赤字の穴埋めのために、都が格安で貸しつけている臨時駐車場です。なんと、その収益は、年間十億円。本来は都民のために入ってくるはずのお金が、第三セクターの救済に注ぎこまれているのです。
「都民のお金は一円も使わない」はずだった「臨海」開発に、石原都政になってから、二兆円もつぎ込まれ、さらに今後、一兆円の都財政がつぎ込まれることが三月都議会の日本共産党の追及で明らかになりました。
テナント料は…
最後に向かったのは、累積損失二百三十五億円(〇四年度末)の赤字を抱える第三セクター、東京テレポートセンターが運営する「テレコムセンタービル」です。
地上二十一階建て、延べ床面積が東京ドーム三・五個分、十六万平方メートルもある同ビルの入居率は、〇五年一月末で78・7%でしたが、現在は実質的に六割台に落ち込んでいます。三月末までNTTドコモが使用し、空き室になっている十一階のオフィスを案内されました。
「賃料はどのくらいですか」。渡辺くみ子都議候補(豊島区)の質問に、案内役の社員は「テナントによって金額も異なっておりますので…」と口ごもりました。
同ビル内に設置された郵便局は、利用が少ないせいか、閉鎖されていました。
東京テレポートセンターを含め、都港湾局所管の臨海三セク三社は、九八年度から十年間で総額二百七十億円に及ぶ財政支援を都から受ける計画をつくり、支援を受けていますが、累積損失は減るどころか、膨らむばかりです。産業労働局が所管する東京ファッションタウンとタイム二十四の二社は、三月末に、日本共産党が主張したとおりに、破たん処理に踏み出さざるをえない状況にまで追いこまれました。
東ひろたか都議(江東区)は、「都民の福祉を切り捨てる一方、破たんが明らかな『臨海』開発に固執し、都民の被害を広げ続ける『オール与党』に改めて強い憤りを覚えます」と言いました。