2005年5月19日(木)「しんぶん赤旗」
米軍機事故現場
58年 日本の判断/今年 米の同意
立ち入り権限後退
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赤嶺氏が批判
昨年八月の沖縄での米軍ヘリ墜落事故を受け、事故現場への立ち入りについて日米双方の同意が必要だとした今年四月の日米合意は、日本側の立ち入りを日本政府の判断でできるとした一九五八年の秘密合意より後退している―。日本共産党の赤嶺政賢議員は十八日の衆院外務委員会で、日本政府の内部文書を明らかにし、国民に真実を隠し、米軍の横暴を追認する姿勢を強く批判しました。
赤嶺氏が示した内部文書は、法務省刑事局が七二年に作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」と題した文書で、表紙に「秘」と記されています。
同文書は五八年十月十六日の日米合同委員会で「(米軍機の)事故現場における措置」について合意があったと指摘し、これに基づき在日米軍司令部が出した指令(「航空安全 日本における米軍施設又は区域外の航空機事故」)を紹介。同指令が「責任ある日本政府の係官は、(事故現場への)合衆国軍隊要員以外の者の立ち入る権利と必要とを決定する」とし、日本側の立ち入りを日本政府がみずから決定できることを明らかにしています。
ところが、昨年八月の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故では、米軍は事故現場を勝手に封鎖。日本側関係者の立ち入りを認めず、強い批判を受けました。これを受け日米両政府は今年四月、米軍機事故に関するガイドライン(指針)で合意し、事故現場への立ち入りは「(日米の)相互の同意に基づき行われる」とし、米側の同意も必要としました。
指針は五八年の合意に比べても後退しているとの赤嶺氏の追及に、町村信孝外相は「コメントを差し控える」と述べ、五八年合意の存在については否定しませんでした。
赤嶺氏は、国会としての調査を求めた上で「政府がいかに被害者である国民の立場に立たず、米国の権利を保護する立場に立っているかを示すものだ」と批判しました。