2005年5月19日(木)「しんぶん赤旗」

JR西 9年間で

電気要員を半減

新型ATS設置遅れる


 福知山線で脱線事故を起こしたJR西日本が、新型の自動列車停止装置(ATS―P)の地上設備などを設計する電気部門の人員を、一九九五年度から〇三年度の九年間に約千四百五十人も削減していたことがわかりました。九六年四月時点で約三千人いたことからすると、半減近い削減です。JR西は福知山線でのATS―P未整備の理由に電気部門技術者数の不足をあげており、利益優先の無理な人員削減が事故の背景にあったことがあらためて浮き彫りになりました。


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 ATS―Pは車両積載装置だけでなく、線路側にも装置が必要です。福知山線新三田―尼崎間で車両積載はほぼ完了し、地上装置の設置が残されていました。地上装置の設置は〇三年九月に決まりましたが、実際の設置工事に着手したのは今年一月。工事着手まで一年四カ月もの時間がかかり、事故の時点では間に合いませんでした。その理由として同社は「地上装置の設計をする専門的知識を持った本社の技術者に限りがあった」としています。

 しかし、本紙の調べによると、同社は中長期要員「合理化」計画で、電気関係部門の要員を九五―九九年度に九百五十人、九九―〇三年度にも五百人を削減。〇四―〇九年度の計画では五百五十人を削減する予定です。

 こうした大がかりな人員削減計画のもとで、電気関係部門の退職者が出ても補充されない状態が続き、技術の継承ができない技術断層が生まれ、信号装置の設計技術者不足が生じているといいます。

 一九九九年には大阪環状線の新今宮駅で信号機の配線ミスによる事故が発生。翌二〇〇〇年一月にJR西日本は「信号関係の技術力の維持向上を図る」と改善策を打ち出しました。しかし人員削減計画自体は、撤回していません。同社は「常にコスト意識を持って業務の効率化を図」る(経営理念)ことを最優先課題としてきました。

 信号装置の設計に携わったことのあるJR西日本関係者は、「ATS―Pなど信号装置の地上設備の設計はたしかに時間がかかるが、福知山線の新三田―尼崎間で設計をはじめてから着工まで一年四カ月もかかるのは長すぎる。背景に合理化で人員を削減してきたことの影響があるのは明らかだ」と話しています。


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