2005年5月18日(水)「しんぶん赤旗」
まるで農水省外郭団体
ダム工事処分のコンサル会社
局長クラス天下り、受注3年で300件
本紙報道で、農水省が認めた、同省発注のダム工事をめぐるコンサルタント会社とゼネコンとの癒着――。今回指名停止処分にされた三祐コンサルタンツ(名古屋市)は、農水省の天下りを数多く受け入れ、同省OB政治家とも深い関係です。十七日の衆院農水委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は「まるで農水省の外郭団体」と指摘しました。
三祐コンサルタンツから献金を受け取った政治家(単位万円) 佐藤昭郎参院議員(自民・元農水省構造改善局次長) 175 段本幸男参院議員(自民・元中国四国農政局長) 70 荒井聰衆院議員(民主・元農水省構造改善局海外担当) 72 須藤良太郎元参院議員(自民・元農水省構造改善局次長) 216 岡部三郎元参院議員(自民・元農水省構造改善局次長) 84 《注》各政治家の資金管理団体、政党支部の政治資金収支報告書(1995年〜2002年)で作成 |
農水省は、九日の本紙報道からわずか三日後の十二日付で異例のスピード処分をしました。その理由について関係者の一人はこう語ります。
「このコンサルタント会社は農水省にとって極めて特殊な関係にある会社だからだ。早く調査を終え、処分をしてしまおうということだ」
鹿児島県の荒瀬ダム工事をめぐり、清水建設に守秘義務のある報告書などを渡した三祐コンサルタンツは、「農水省の公共工事にかかわる人間では知らない人がいない」(ゼネコン関係者)ほど“有名”です。
農水省からのコンサルタント業務の受注量は、昨年度までの三年間で三百件をこえ、高橋議員の調査では契約総額は四十億円をこえています。
荒瀬ダムなど全国のダム関係だけでなく、川辺川農業水利事業関係や諫早湾干拓事業関係など主要な大型公共事業のコンサルタント業務を軒なみ受注しています。
この背景にあるのが、大量の農水省OBの天下りです。
現在の役員のうち、専務は北陸農政局長OB、常務は東北農政局計画部長OB、取締役に中国四国農政局建設部長OBが就任しています。二〇〇二年までに同社へ天下りした農水省OBは十九人にのぼります。
さらに同社は、政界とも深い関係。自民党の佐藤昭郎、段本幸男両参院議員など農水省出身の複数の政治家に献金しています。(別表)
今回の問題をめぐるもう一つの重大問題は不正入札の疑いです。
実は、問題となっている荒瀬ダム入札についてはすでに“談合”疑惑が浮上しています。
九州農政局によると、同ダムの入札前に談合情報が寄せられ、公正取引委員会に通報するとともに、入札参加企業に事情を聴取。各企業とも談合を否定したので、入札をおこなった、と説明しています。
今回、農水省の調査でも、同ダムのコンサルタント業務をめぐり三祐側と清水建設は「複数年にわたり、複数回」接触していたことが判明しました。談合疑惑にもメスを入れるかどうか問われています。