2005年5月17日(火)「しんぶん赤旗」
JR西の脱線事故 穀田議員追及
政府として反省すべき点ある新型ATS義務化政府が遅らせた |
政府が国鉄分割民営化(一九八七年)の際に、大手私鉄に速度制限型ATS(自動列車停止装置)の設置を義務付けていた通達を廃止し、JRへの適用を避けたことが問題になっています。小泉純一郎首相は十六日の衆院予算委員会で、「私鉄に対する対応と、JRへの対応が違うということが事実だとすれば政府にも反省すべき点がある」と、政府の責任を認めました。日本共産党の穀田恵二議員の質問に答えました。
今回の事故を受けて国土交通省は、福知山線運行再開にあたっての条件として新型の自動列車停止装置(ATS―P)設置をあげています。穀田氏は「これまでも設置を義務付けるチャンスはいく度もあったのにそれを逃してきた。(事故という結果に)悔やまれてならないではないか」として、設置を後回しにしてきたJR西日本と国交省の指導監督責任をただしました。
同線は運行本数がJRの発足時に比べ四倍近くも増大。宝塚―尼崎間は、トラブルによる遅れを駅間で回復する「余裕時間」がゼロで、遅れるとスピードを上げて時間を取り戻すということが常態化していました。
穀田氏は「ATSを設置すれば制限速度以内のスピードしか出せず、遅れを回復するのにATSのブレーキが作動しては困るから、設置を遅らせてきたのではないか」とのべ、JR西日本がATS―P設置工事費を九八年度の二十一億円から〇四年度に五億円と激減させるなど、安全より利益を優先させてきたことを指摘しました。
さらに「おおもとには、(速度制限型ATS義務付け通達の廃止など)政府がJRに対して安全指導を緩めてきた問題がある」として、民営化、規制緩和で国の責任を放棄し、JRの利益第一主義を許してきた政府を批判しました。
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