2005年5月14日(土)「しんぶん赤旗」
「つくる会」教科書
市民、反対の声強い
「教科書ネット21」 外国特派員協会で会見
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「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の問題について、「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長らが十三日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見し、「日本を国際社会から孤立させる教科書だ」と指摘しました。
会見は特派員協会が主催。十日に「つくる会」の八木秀次会長らが同協会で記者会見し「戦争を美化する立場では書いていない」などと強弁しています。
これを受けて協会が「両サイドからの意見を聞きたい」と俵氏らを招きました。
俵氏は、日本の加害の事実の記述がない、原爆など日本人側の被害の記述も不足、アジア蔑視(べっし)の視点が貫かれている――などの問題点を説明。「戦争の悲惨さを子どもに教えたくないというねらいが露骨に出ている」と批判しました。
質疑では、「日本社会は右傾化していると思うか」との質問に荒井信一・茨城大名誉教授が回答。「日本社会は一枚岩ではない。政治のリーダーシップは顕著に右傾化しているが、市民の中では『つくる会』教科書反対や改憲反対の声が強く上がっている」と指摘しました。
オランダの記者は「『つくる会』幹部は戦前日本の体制を全体主義ではないと言ったが、あなた方はどう見るか」と質問。荒井氏が「天皇を権威とする軍部独裁体制だった。社会全体も総力戦体制に組み込まれていた」と回答しました。
この記者は会見後、「『つくる会』の人たちは学者というより、政敵の悪口を言い合う政治家のように感じた。今回の人たちのようにまじめに事実を議論した方がいい」と話していました。