2005年5月14日(土)「しんぶん赤旗」
おはよう ニュース問答
「二項そろってこそ9条」の意味かみしめよう
のぼる 憲法問題で友だちと議論になってね。
敬三 ほう。
のぼる 憲法を素直に読めば自衛隊は憲法違反だろう。
敬三 そうだな。九条二項で「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」とあるからな。
自衛隊認めたら
のぼる でも、実際には世界第二位の軍事費を注ぎ込むほどの自衛隊がある。それなら、憲法でその存在は認めて勝手なことができないように歯止めを書きこんだほうがいいんじゃないか、その方が憲法の信頼性も増すと、友だちはいうんだ。
敬三 「護憲的改憲論」というやつじゃな。世論調査では、改憲して自衛隊の存在を明記するという回答が七割ある一方、同じ調査で九条は変えた方がいいは三割強で、反対が過半数を占めた。
のぼる つまり、改憲して自衛隊を認めると答えた人のうち、半分は、具体的に九条をどうするかとなると変えない方がいいとなるんだね。
敬三 お前の友だちも本当は迷っているんじゃないかな。ただ、一つ重要なことを見逃していると思うよ。自衛隊の存在を書きこむ、つまり九条の二項を変えるということは、単に自衛隊の現状を追認するだけではすまないということだ。
武力行使可能に
のぼる どういうことなの。
敬三 九条二項は、自衛隊が海外で武力行使をしない歯止めになってきたんだ。それを外したら、単にいまある自衛隊を認めるだけでなくて、海外で戦争する軍隊として認めることになる。
のぼる 二項を変えるとどうして歯止めがなくなるの?
敬三 政府は、二項があるから、自衛隊は軍隊じゃないといってきた。軍隊じゃないから、当然いろいろな制約がある。政府のある役人は、制約として、武力行使を伴う海外派兵、集団的自衛権の行使、武力行使を目的・任務とした国連活動への参加の三つをあげた。
のぼる 二項をやめたとたん、その三つが可能になるというわけだね。
敬三 自民党の元閣僚で自衛隊は「専守防衛」だから認めよといっていた人も、改憲すればアメリカと一緒に海外で戦争をする国になるといって反対しているんだよ。
のぼる わかった。もう少し、話してみるよ。
〔2005・5・14(土)〕