2005年5月14日(土)「しんぶん赤旗」

主張

30人学級

学習でも生活でも効果あり


 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の義務教育特別部会が、公立小中学校の一学級当たりの子ども数の上限を「四十人」と定めている学級編成基準を改善することで一致しました。

 国会では、日本共産党の石井郁子衆院議員が、「一人ひとりに目が行き届くよう、三十人学級に踏み出す決断を文科省としてすべきだ」と求めたのにたいし、中山文科相は、現場の実態からも「クラスの人数を減らすほうにいかないといけない」と答えています(二月二十三日、衆院文部科学委員会)。

少人数指導との違い

 少子化の進行にもかかわらず、子ども数が三十一人以上の学級が小学校で44%、中学校で74%にのぼっています。三十六人以上の学級も小学校で16%、中学校で38%です(二〇〇四年度学校基本調査)。

 OECD(経済協力開発機構、三十カ国が加盟)の調査でも、一学級当たりの子どもの数が、日本は加盟国の平均より小学校で七人、中学校で十人程度多くなっています。

 来年度からの第八次教職員定数改善計画の策定に向け、国は学級編成基準を「四十人」から「三十人」へと引き下げるときです。

 三十人学級をはじめ少人数学級による教育効果は、独自に実施している四十二道府県(二〇〇四年度)の経験で、試されずみです。

 文科省の調査(今年四月)によると、「児童生徒の学力が向上した」「授業でつまずく児童生徒が減った」と評価する学校は、小学校で98・7%、中学校で九割以上にのぼっています。

 また、「不登校やいじめなどが減少した」「基本的な生活習慣が身についた」と評価する学校は、小学校で九割、中学校で八割です。さらに、教師が教材研究を深めるうえでも効果がありました。

 文部科学省は、今年度までの第七次教職員定数改善計画(二〇〇一年度から五年間)で、一九八〇年度以来の「四十人学級」をつづけながらも、教科などに応じた二十人程度の「少人数指導」や「習熟度別指導」を推進してきました。

 しかし、「少人数学級」と違い、「少人数指導」や「習熟度別指導」には問題点があります。

 先の文科省の調査では、学習面では少人数学級と少人数指導の評価はほとんど変わりませんでしたが、大きく違ったのは生活面です。

 「不登校やいじめなどが減少した」とは「思わない」と答えた学校が中学校で57%、小学校で36%にのぼりました。少人数学級と比べ、二―三倍の高さです。

 また、少人数指導では、「教師間の打ち合わせや教材準備の時間が確保できない」と答えた学校が七割です。八割が「学級編成人数を引き下げた方が効果的」と答えています。

 同じ「少人数」でも学級規模を小さくしてこそ、子どもが楽しく学ぶことができる―。文科省の調査でも明らかになりました。

教育基本法を生かし

 教育基本法は、教育行政の仕事が「必要な諸条件の整備確立」であることを明記しています。教育基本法に不備があるから、学力の危機やモラルの荒廃の問題が起こっているわけではありません。教育基本法の精神を生かしてこそ、子どもと教育をめぐる困難を打開できます。

 国民のねばりづよい運動で、地方自治体に少人数学級を広げることができました。その力をさらに広げ、国の責任による三十人学級を実現させていきましょう。


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