2005年5月14日(土)「しんぶん赤旗」
負担が収入の3割にも
障害者自立支援法案
山口議員「生存権侵害だ」
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障害者「自立支援」法案を審議した十三日の衆院厚生労働委員会で、日本共産党の山口富男議員は、厚労省が定めた応益(定率)負担の「上限」でも、障害者の収入(障害基礎年金)の二―三割の利用者負担になることを示し、「障害者の生存権侵害に踏み込むものだ」と追及しました。
厚労省は、大幅な負担も「上限」があるので低所得者にきめ細かい配慮を行っていると弁解を繰り返しています。山口氏は、障害2級相当の上限は月一万五千円で収入(障害基礎年金)の約二割、1級相当の人は月二万四千六百円で収入の約三割に及ぶことを指摘。「どこにきめ細かい低所得者対策があるのか」「上限の根拠があるのか」と迫りました。
厚労省の塩田幸雄障害保健福祉部長は「他の社会保障制度との整合性からだ」と答弁。制度上横並びにしただけで、障害者の「自立」を考えた上限でないことが浮き彫りになりました。
山口氏は、障害者の公費負担医療見直しがとてつもない負担増につながる事例として、心臓病患者の例をとりあげました。三十歳の一人暮らしで、心臓手術で二十日間入院した人の場合、所得税が年額四千八百円以下だと食費の負担増も合わせて、現行の二千三百円から十一万五千四百九十円へと五十・二倍もの負担増になります。
「ここに障害者の人権を踏みにじる政策が出ている。変えるべきだ」。山口氏の追及にたいし、尾辻秀久厚労相は「それぞれのケースで精査しなければいけない」と答えました。
議場みつめ、点字うつ姿
障害者自立支援法案
傍聴席に次々つめかけ
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「(定率負担の)やり方をとったら、障害者の生存権を脅かすことになる。大臣、そうじゃないか!」―十三日、衆院厚生労働委員会室に、日本共産党、山口富男議員の声が響きました。
障害が重いほど、大きな負担となる定率負担を導入する障害者自立支援法案。「障害者の生活はどうなるのか」―。委員会室には、次々と車いすなどの人々がつめかけ、食い入るように議場をみつめてメモをとったり、点字をうつ姿がみられました。
「六千六百人の人が一堂に会したのは、障害者の歴史でも初めてでは…。立場を超えた各団体の発言に心が動かされました」―十二日に日比谷公園で開かれたフォーラムの感想を話す堀部光雄さん(62)=大阪市=は白杖(はくじょう)をついての傍聴です。月に二十時間、移動介護や家事援助のホープヘルプサービスを利用しています。法案が成立すると負担は、ゼロ円から約三千円に。
「健康な人が道を歩くのに、お金をとられるでしょうか。知っている道は歩けても、慣れない所、初めての所に行くには、移動介護が必要です。私たちは、普通の暮らしをし、社会参加するために外出するのであって、けっしてぜいたくでもなんでもない。利用料の一割負担はとんでもない」と怒ります。
「政府は、私たち障害者の痛みをまったく感じていない。障害が重ければ重いほど負担が大きくなる制度は、絶対、許せませんね」。東京・無年金障害者をなくす会代表幹事の兼平勝子さん(59)も、電動車いすに乗った仲間たちと、傍聴に駆けつけました。
「障害者はみんな怒っています。障害が重くて、傍聴に来られない人が、私の後ろに何人もいます。しっかり聞いて、みんなに報告したい」