2005年5月13日(金)「しんぶん赤旗」

イラク米軍 カイム「掃討作戦」強化

「第2のファルージャ」

避難民が証言 犠牲の大半、民間人


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 【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は現在、同国西部を中心に「武装勢力掃討」作戦を強化しています。シリア国境近くのカイムでは、約千人の部隊を動員し、七日夜以降激しい攻撃を加えています。カイムが「第二のファルージャ」になる懸念もでています。

 カイムを取材中のジャーナリスト、ファディル・バドラーニ氏(ファルージャ在住)は十一日、本紙の電話取材にたいし、「カイムは第二のファルージャになろうとしている」と告発しました。

 イラク中部ファルージャでは昨年四月、米軍の大規模軍事作戦で住民七百人が殺害され、十一月には数千人が殺害されました。英系警備会社で働く日本人の斎藤昭彦さんが西部ヒートで武装勢力に拘束された事件も、今回の米軍の作戦強化が背景にあると指摘する声も出ています。

情報を統制

バドラーニ氏によれば、カイムでは米軍が町を包囲し、報道関係者が町に入ることを完全に禁止、情報統制下に置いています。米軍が九日、同地で武装勢力百人を殺害したと発表したことにたいし、同氏はカイム郊外に避難してきた住民への取材を基に、「実際に死亡したのは多くが民間人だ」と反論しました。

 同氏は、米軍による民家爆撃で子どもと女性の一家五人が殺害されたり、八人家族のうち一人を除きすべてが殺害されたとの証言や、避難する家族の車に米軍が銃撃を加え運転していた父親が殺されたなどの証言を得ています。

 バドラーニ氏は、犠牲者の正確な数は調べようがないとしながらも、「米軍のF16戦闘機が二十四時間態勢で展開し爆撃を繰り返すなか、多数の民間人が死亡しているのは確実だ」と語りました。

 さらに、カイムでは現在、電気や水の供給が完全にストップし、商店や学校など多数の施設が活動停止に追い込まれていると指摘。「町を完全に包囲し攻撃の実態を隠しながら民間人を殺害し、人道的危機を深刻にしていることなど、規模は違っても米軍がカイムでおこなっていることは、ファルージャでのそれと同じです」と強調しました。

病院を破壊

 医療機関破壊の点もファルージャ総攻撃と共通しています。

 カイム総合病院のハムディ・アルアルスィ院長は十一日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラの電話取材にたいし、「米軍のミサイル攻撃で一家四人が死亡、七人が負傷するなど、犠牲者の大半は女性や子ども、老人です」と語るとともに、同病院も爆撃で破壊され手術が不可能となり、救急車の出動もままならず医療体制が危機的状況にあると訴えました。

 また町当局幹部のアブデル・アルラウィ氏は同テレビにたいし、道路が封鎖され、攻撃による負傷者を病院に運ぶこともできない状況だと指摘。「米軍は外国武装勢力の存在を攻撃の理由にしているが、私たちはこの町で外部の者を見たことなどない。米軍に抵抗しているのは住民の若者たちだ」と強調しました。


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