2005年5月13日(金)「しんぶん赤旗」

安全第一を基本に

近畿運輸局・JR西日本に 兵庫労連が要請


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近畿運輸局に要望する兵庫労連の森岡議長代行(正面中央)ら=12日、大阪市

 兵庫労連(畦布和隆議長)と尼崎・宝塚の両地区労連は十二日、JR福知山線の脱線事故問題で、大阪市の国土交通省近畿運輸局、JR西日本に対し、それぞれ再発防止を要請しました。

 近畿運輸局では、兵庫労連の森岡時男議長代行が、「国鉄からJRになり、民営化後の『規制緩和』で監督官庁の権限をとりはずしていった政府の安全対策が、いま問われている。百七人の犠牲を出した今回のような事故を二度と起こさないために行政のあり方を見直してほしい」と訴えました。

 要望書は、北側一雄国土交通相に対し、▽「規制緩和」を見直し、保守検査・車両設計・運行取り扱い・駅ホームでの安全確保を国土交通省の「安全基準」として策定し、守らせる▽安全とは相いれない人権を無視した労務管理をやめるよう行政指導を行う―など六項目を要望しました。

 近畿運輸局の古角利裕監理課長は「見直せるところは見直すということでやっていきたい」などと答えました。

 JR西では、垣内剛社長あてに、▽四月一日付で削減したホーム要員を元に戻す▽再発防止のため、利用者・従業員・地域の意見を取り入れる機関を設置する―など六項目を要望しました。


大阪労連も申し入れ

 大阪労連(全労連加盟)は十二日、百七人の犠牲者を出した大惨事を二度と起こさないよう再発防止や安全対策について、JR西日本の垣内剛社長に申し入れました。

 申し入れは(1)遺族や負傷者の損害賠償に誠意をもって、心的外傷やストレス障害にも対応する(2)閉鎖的体質に陥らず、原因の全容解明と背景を国民に明らかにする(3)利益第一・営利優先の経営体質を改め、乗客の「安全第一」の立場に立って、安全にかかわる設備投資と再発防止の確立をおこなう(4)「再教育」については、いじめや責任追及ではなく、再発防止のための原因究明と運転技能にかんする教育のみとする。長時間・過密労働やホーム要員・保守要員の削減をやめ、ゆとりをもって働ける職場環境をつくる(5)不幸にして事故が起きた場合は、「人命第一」の基本にたって、最も安全と認められる方法に敏速に救命と応急措置をとるとともに、関係機関への報告、連絡をただちにとる。その場合、職責のいかんを問わず、社員は全力をあげて協力する―を求めています。

 植田保二議長、服部信一郎副議長が西日本本社を訪れ、「安全第一へ利用者・国民の意見を十分に踏まえて対応してほしい」「千四十七人の解雇撤回の要請に背を向け続ける態度を改めよ」と要求。JR側は、五月中に「安全向上計画」をまとめ、ダイヤの見直しや新型自動列車停止装置(ATS―P)の整備、企業風土の再構築をすすめていくとのべました。


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